国民年金を厚生年金から補填する案が話題となっています。これは今に始まった話ではなく、2021年9月10日の記者会見において、当時の田村憲久厚生労働相が表明したことでも議論が沸き起こりました。
財政基盤が弱い国民年金受給者の生活を支えるよう、厚生年金で補填するというのが主な内容です。
こうした表明を受け、主に厚生年金加入者からは様々な声があがっています。
では、現在の国民年金と厚生年金の水準はどれほどなのでしょうか。実は、すでに75.1%の高齢者が「年金だけで生活できない」状態に陥っているのです。
直近データから紐解いていきたいと思います。
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1. 公的年金は2階建て構造
日本の年金は、1階部分の国民年金(20歳~60歳未満のすべての人が加入)と2階部分の厚生年金(公務員や会社員が加入)の2階建て構造となっています。
厚生年金に加入できれば、将来は老齢年金として国民年金+厚生年金が受給できます。
しかし自営業者や専業主婦などは国民年金のみとなるため、財政基盤が弱いという課題があります。
2. 年金だけで生活できない高齢者は75.1%に
2022年9月9日、厚生労働省から公表された「2021年 国民生活基礎調査の概況」によると、「公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合」は次のとおりとなりました。
100%年金だけで生活できている世帯は24.9%のみ。残りの75.1%は、稼働所得や財産所得、仕送りや個人年金などで補填していることがわかります。
ちなみに、2年前の調査では100%生活できる高齢者が48.4%でした。大幅に減少していますね。今後も年金に頼る高齢者は減少していくかもしれません。
では、平均的な年金の受給額はいくらぐらいなのでしょうか。国民年金と厚生年金にわけて見ていきましょう。
3. 全員が加入する国民年金、受給額を5歳刻みで確認
ここからは厚生労働省の直近データ、「令和2年度(2020年)厚生年金・国民年金事業の概況」を参考に、実際の年金受給額を見ていきます。まずは国民年金を確認しましょう。
3.1 国民年金の平均月額(受給者数3328万1594人)
〈全体〉平均年金月額:5万6252円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9040円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4112円
3.2 5歳刻みでの「国民年金月額」の月平均
- 60~64歳:4万2306円
- 65歳~69歳:5万7502円
- 70歳~74歳:5万7010円
- 75歳~79歳:5万5880円
- 80歳~84歳:5万6916円
- 85歳~89歳:5万5633円
- 90歳以上:5万554円
64歳以下は繰上げ受給選択者のため、受給額が少ない傾向にあります。いずれにしても、単身世帯や夫婦ともに国民年金という場合、老後を年金だけで過ごすのは厳しいでしょう。
4. 会社員等が受給する厚生年金、受給額を5歳刻みで確認
では、会社員や公務員等が受給する厚生年金はいくらなのでしょうか。同じように見ていきましょう。
4.1 厚生年金の平均月額(受給者数1610万133人)
〈全体〉平均年金月額:14万4366円
- 〈男性〉平均年金月額:16万4742円
- 〈女性〉平均年金月額:10万3808円
※国民年金の金額を含む
4.2 5歳刻みでの「厚生年金月額」の月平均
- 60~64歳:7万5922円
- 65歳~69歳:14万3069円
- 70歳~74歳:14万5705円
- 75歳~79歳:15万569円
- 80歳~84歳:15万9529円
- 85歳~89歳:16万2705円
- 90歳以上:16万1506円
64歳以下は特別支給の老齢厚生年金や繰上げ年金の選択者が含まれるため、受給額は低くなっています。
また、厚生年金は、現役時代に支払ってきた保険料で受給額が左右されます。保険料は収入によって変わるため、年収が高かった人、長く働いた人ほど年金が高くなるといえます。
このことから、平均だけでは実態をつかむことは難しいです。ただし、年代があがるごとに平均額があがっていることから、今後は水準が減っていく可能性も考慮する必要があります。
5. 公的年金制度は改革を重ねる予定だが
年金制度は情勢に合わせて改革を重ねるため、破綻することはないと言われます。しかし、「年金だけで暮らせる」という状況が保証されるわけではありません。
事実、その割合は減少傾向にあります。平均寿命が延び、少子高齢化が進む中、自助努力の必要性は高まる一方でしょう。
若い世代では「老後資金は自分で貯める」が当たり前となりつつあります。効率的に貯める方法について、情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。



