2022年10月1日より、一部の後期高齢者の医療費負担が1割から2割に引き上げられます。
年金だけで生活する高齢者にとっては、医療費が2倍になることを負担に感じる方も多いでしょう。
一方で、支援金として支える現役世代にとっては、「高齢者の医療費負担が増えるのはやむなし」と捉えている方もいるようです。
では、その高齢者の暮らしぶりとは実際どのようなものなのでしょうか。
最新のデータから60歳代の貯蓄額、年金額、年金だけで生活する高齢者の割合をさぐってみたいと思います。
60歳代のうち「貯蓄2000万円達成」は3割
まずは金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」を参考に、60歳代二人以上世帯の貯蓄額について見ていきましょう。
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出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人世帯調査]令和3年調査結果」をもとにLIMO編集部作成
60歳代世帯「金融資産保有額」(※金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均:2427万円
- 中央値:810万円
平均は2000万円を大きく超えています。「老後2000万円問題」が記憶に新しい方も多いかと思いますが、平均ベースではクリアできているようですね。
ただし内訳を確認してみると、2000万円を達成しているのはわずか32.4%にとどまります。
さらに金融資産非保有(貯蓄なし)の割合も19.0%となり、二極化の様子が伺えます。
60歳代といえば、定年退職を迎えて退職金を受給した方も含まれます。親からの相続を受けた方もいるでしょう。
ただし、現役時代からの積み立てが影響しないことは考えられません。コツコツ老後資金を貯めた人と貯められなかった人との差とも言えます。
高齢者の75%は「年金だけで生活できない」
続いて2022年9月9日に公表されたばかりの厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」より、「高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合」を確認します。
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出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」
100%年金だけで生活できている世帯は24.9%にとどまります。80~100%未満が一番多く、33.3%。また60~80%未満が15.9%、40~60%未満が14.0%もいます。
ちなみに2年前の調査では100%生活できる高齢者が48.4%いました。比較すると大幅な減少となったことがわかります。
年金以外の所得としては、稼働所得(71万7000円)、財産所得(22万9000円)、年金以外の社会保障給付金(2万1000円)、仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得(28万8000円)があります。
仕送りなども含まれるため、子ども世帯の援助を受ける方も少なくないのかもしれません。
年金はそんなに少ないのか
最後に、今の高齢者が受給している年金額を「国民年金」「厚生年金」にわけて確認しましょう。厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にします。
国民年金の平均月額
〈全体〉平均年金月額:5万6252円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9040円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4112円
厚生年金の平均月額
〈全体〉平均年金月額:14万4366円
- 〈男性〉平均年金月額:16万4742円
- 〈女性〉平均年金月額:10万3808円
※国民年金の金額を含む
どちらの年金を受給するかによっても、印象は大きく異なります。また会社員や公務員が加入できる厚生年金は、現役時代の収入や加入期間によって受給額が決まります。
勤労期間を通してたくさん稼いだ方は、平均以上の厚生年金を受給しているでしょう。少数派ではありますが、月30万円以上の年金を受給している方も中にはいます。
厚生年金の受給額を10万円ごとの4段階に分けると、構成比は以下のようになります。
- 30万円以上~:約0.1%
- 20万円以上~30万円未満:約16%
- 10万円以上~20万円未満:約61%
- 1万円未満~10万円未満: 約23%
10万円以上~20万円未満が多いものの、次に多いのは1万円未満~10万円未満。格差がうかがえますね。
老後資金はいかに早く意識するかがカギ
60歳代の貯蓄額、さらには年金受給額を見ることで、その金額はピンキリであることがわかりました。
特に平均では貯蓄2000万円をクリアしているものの、実際には3割しかいないことから厳しい格差がわかりましたね。
現役時代から老後を見据えて準備をしてきた方にとっては、当たり前の結果に思うかもしれません。今の60歳代と言えば、バブルの高金利時代を経験しています。
銀行に入れておくだけでお金が増やせた時代に、うまくお金を守りきれた方が貯蓄を増やせたのかもしれません。
今の現役世代にとっては夢のような話です。銀行の金利はほとんどなく、若い人にとって銀行は「預けるだけ」の存在となっているでしょう。預けてお金が増える、という現象にピンと来ないものです。
その代わり、昔はなかった「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」など、税制優遇を受けながら資産を形成できる金融商品もあります。
十分な老後資金を備えるためには、こうした制度も視野に入れながら、早めに準備を進めることが大切でしょう。
参考資料
太田 彩子
