1. 高齢者世帯の平均所得金額は?

まずは所得について。「高齢者世帯の年間所得平均は312.6万円で、全世帯から高齢者世帯と母子世帯を除いた「その他の世帯」の平均664.5万円の約半分ほどです。ちなみに「全世帯」では552.3万円です。

また、世帯人数が少ないほど生活コストが割高になることを調整して算出された「等価可処分所得金額」の平均でも、全世帯が290.0万円のところ高齢者世帯は218.5万円。その他の世帯の313.4万円の7割ほどになっています。

  • (注1)厚生労働省「国民生活基礎調査」(令和元年)のデータによる平成30(2018)年1年間の所得。
  • (注2)高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯。
  • (注3)等価可処分所得:世帯の可処分所得(所得から税金や社会保険料などを除いたもの)を世帯人員の平方根で割ったもの。

1.1 所得階層別分布と中央値は?

全世帯と高齢者世帯の所得階層別分布を見てみると、高齢者世帯では「150~200万円未満」が最も多く、300万円未満の世帯で約6割を占めています(図表1参照)。

図表1:高齢者世帯(オレンジ色)全世帯(青色)の所得階層別分布(単位:%)

出所:厚生労働省「国民生活基礎調査」(令和元年)をもとに筆者作成

また、先述のように高齢者世帯の所得平均値は312.6万円ですが、中央値は255万円(全世帯の中央値は437万円)です。平均値は極端な値に影響されやすいため、数値を低いものから高いもの(あるいはその逆)へと順番に並べたとき、ちょうど真ん中にくる中央値のほうがより実態を反映していると考えられます。

そして、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯では、所得の全てが公的年金・恩給という世帯が約半数(48.4%)になっています。老後も働くシニアが増えてきてはいるものの、大半の高齢者世帯では老後の収入源の柱は公的年金であることに変わりはないようです(図表2参照)。

図表2:総所得に占める公的年金・恩給の割合別世帯数の構成(年金・恩給を受給している高齢者世帯)

    出所:厚生労働省「国民生活基礎調査」(令和元年)をもとに筆者作成