個人投資家の売りがとまらない
日本取引所グループから、2017年5月2日の週までの日本株投資主体別売買動向のデータが開示されました。
4月以降、「個人投資家の売り」対「海外投資家の買い」という構図が続いていますが、大型連休の前半までこの傾向が続いています。少し詳しく見ていきましょう。
4月後半は株価が回復へ
まず、最近の相場のおさらいをしておきましょう。
日経平均は2017年3月2日に19,668円1銭を付けましたが、3月中旬に下落に転じ、2017年4月17日に年初来安値の18,224円68銭となりました。この下落の要因は、米景気減速の兆候、トランプ政権の経済政策に対する失望、円高の進行、朝鮮半島や中東での政治・軍事リスクの高まりなどです。
しかし、その後相場はじり高となり4月25日には19,000円台を終値ベースで回復、5月2日には19,445円70銭で終わりました。地政学リスクが小康状態に入ったこと、フランス大統領選の趨勢が見えてきたこと、米国の税制改革の骨子が出たこと、米企業の決算がおおむね堅調なことなどが大きかったと思います。
では、投資主体別の売買動向を確認してみましょう。
海外投資家の買い越し、5週連続に
海外投資家は5週連続で買い越しとなりました。1月から3月まで累計で1兆2千億円売り越してきた海外投資家は、4月に入り積極的な投資姿勢に転換したと見て差し支えないでしょう。
ちなみに週次の買い越し額は次の通りです。
4月第1週 +908億円
4月第2週 +1,027億円
4月第3週 +2,770億円
4月第4週 +2,850億円
5月第1週 +1,583億円
5月第1週は2営業日しかありませんので、買い越しペースは強まってきていると言えるでしょう。5週累計の買い越し額は9,138億円となり、あと一息で年初からの通算でも買い越しに転じるところまで来ました。
日銀のETF購入も週を追って減少してきています。最近の株価の反発を牽引したのは海外投資家の積極姿勢だと言ってよいでしょう。
個人は4週連続で売り越し
これに対して個人投資家は4週連続で売り越しになりました。
4月第2週 ▲509億円
4月第3週 ▲883億円
4月第4週 ▲4,449億円
5月第1週 ▲1,877億円
累計で▲7,718億円の売り越しです。4月後半以降、海外投資家の買いで株価が上昇するときにはしっかり売り向かうという個人投資家の典型的な行動パターンが、ここでも繰り返されています。
個人の短期的なポジションはいったん整理がついた!?
個人は3月中旬以降の4週間で累計+5,193億円買い越したのですが、この時の日経平均の水準は19,000円台半ばでした。その後の株価下落で損益状況が悪化しましたが、4月後半以降の株価の回復でやれやれ売りが出たのだと思います。金額的に見ても、3月中旬以降の4週間の買い越し分はかなり整理が進んだと言えそうですし、信用買い残も落ち着いてきました。
とはいえ、個人のやれやれ売りがかなり出たのだとすれば、個人の相場観は決して強気ではないとも言えるでしょう。
今後は、身軽になった個人が海外投資家と足並みを揃えて買い上がっていくのか、それとも個人の相場観が当たり、株価がもう一度調整していくのかがポイントになりそうです。日経平均が2万円を安定して超えるかどうかは、ここからの個人の動向にかかっていると言えるのではないでしょうか。
LIMO編集部