2. 遺族年金が支払われるための要件
実際に遺族年金が支払われるには、亡くなった方との関係性、保険料の納付などの要件がとても重要です。それぞれについて、細かくみていきましょう。
2.1 保険料の納付に関して必要な要件
遺族基礎年金や遺族厚生年金が支払われるには、死亡日の前日において、その2カ月前までの被保険者期間に、国民年金の保険料納付済期間または免除期間、厚生年金保険の被保険者期間などの合計が3分の2以上必要です。
ただし、2026年(令和8年)3月31日までは、保険料の納付要件の特例があります。
この場合、亡くなった方が65歳未満であれば、亡くなった日の2カ月前までの直近1年間に保険料の未納がなければ大丈夫です。
たとえば、2022年8月に亡くなった場合、2021年7月から2022年6月まで、保険料の未納期間がなければ納付要件を満たしていることになります。
もし、収入の減少や失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、未納のままにせず「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きをしましょう。
そうすれば、国民年金保険料を納めてなくても「未納」ではなく「免除」となり、納付要件を満たしていると判定されます。
問い合わせ先は、お住まいの市(区)役所または町村役場の国民年金担当窓口、または住所を管轄する年金事務所です。
2.2 亡くなった方に生計を維持されていたと認定される要件
遺族基礎年金を受けることができる遺族は、国民年金の被保険者または被保険者だった人が亡くなった際、その方によって生計を維持されていた子を持つ配偶者、または子のどちらかです。
また、遺族厚生年金を受けることができる遺族は、厚生年金の被保険者または被保険者だった人が亡くなった際、その方によって生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母のいずれかです。
遺族年金を受給するには「生計を維持されていた」と認められる必要があり、「生計同一要件」と「収入要件」を満たす必要があります。
【生計同一要件】
遺族は、原則として亡くなった方と同居している、もしくは、別居していても仕送りを受けていたり、健康保険の扶養家族になっていたりという関係性が必要です。
【収入要件】
遺族の前年の収入が850万円未満であること、または、所得が655万5000円未満であることのいずれか片方を満たす必要があります。
なお、事実婚関係の場合については、戸籍簿などの把握ができないため、まずは「事実婚の認定」を行います。
- 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること
- 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること
上述の2つの要件を満たした後に、生計を維持されていたことの認定が行われます。