4. 夫婦で受給する年金の目安額

国民年金・厚生年金の受給額分布を男女別に見ていきました。夫婦の場合、合計の受給額が重要になりますね。

日本年金機構によると、標準的な夫婦が受給する年金は月額で21万9593円。これが2022年度のモデル年金です。

モデル年金と言っても、誰もが約22万円を受給できるわけではありません。実は「標準的な夫婦」とは、下記のような夫婦が想定されているのです。

「平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準」

つまり40年間サラリーマンとして平均43.9万円を稼いだ夫と、40年間ずっと専業主婦だった妻の合計年金です。

「標準的な夫婦では」と言われれば誰もがあてはまるように捉えられますが、実際には全然違うケースも珍しくありません。

そこで夫婦の働き方ごとに、年金の目安額を整理してみました。

  • 夫婦とも会社員(厚生年金):26万8550円(夫:16万4742円+妻:10万3808円)
  • 夫が会社員(厚生年金)+妻が専業主婦や自営業(国民年金):21万8854円(夫:16万4742円+妻:5万4112円)
  • 夫が自営業(国民年金)+妻が会社員(厚生年金):16万2848円(夫:5万9040円+妻:10万3808円)
  • 夫婦ともに自営業など(国民年金):11万3152円(夫:5万9040円+妻:5万4112円)

働き方によって加入する年金が違う以上、モデル年金だけを参考にすることはできません。夫婦の働き方のパターンごとに確認しておきましょう。

5. 「国民年金と厚生年金」受給額はねんきんネットでシミュレーションを

厚生年金と国民年金について、その受給額を見ていきました。平均では厚生年金が14万4366円で、国民年金が5万6252円です。

しかし分布の様子も合わせて見ることで、個人差や男女差があることがわかりました。

前章では夫婦の働き方ごとに受給額を資産しましたが、やはり平均だけで目安をつかむことはできません。

「自分たちの老後の柱となる年金はいくらだろう」と思ったときには、日本年金機構が運営する「ねんきんネット」でのシミュレーションがおすすめです。

最近ではマイナポータルからねんきんネットにログインすることも可能になりました。老後の生活を考える第一歩として、まずは正確な年金額を把握してみてはいかがでしょうか。

年金受給額が減少する今、年金だけで生活するのは難しくなりました。

預貯金・保険・資産運用などをバランスよく振り分け、資産を増やしていくことも考え始めましょう。

参考資料

太田 彩子