老後対策は貯蓄と年金、両方で取り組むべき
60歳代と70歳代、それぞれの貯蓄格差を見ていきました。老後破産を避けるためには、早いうちから老後のマネープランを考える必要があります。
貯蓄アップの方法と年金アップの方法を見ていきましたが、できれば両方に取り組むほどいいでしょう。
これは両方の効果を享受するためというより、リスクを分散させるという視点からの結論になります。
例えば貯蓄においては、お金を貯めてもインフレのリスクが避けられません。資産運用に分散できればインフレリスクを回避できますが、この場合は運用成果に貯蓄額が左右されてしまいます。
この時、安定的に年金という収入があると安心でしょう。
一方で、年金だけでも安心できない現状があります。厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2021年12月)によれば、厚生年金の平均受給額は月額14万4366円、国民年金は月額5万6252円です。
ここから上乗せを頑張っても、大幅に増やせるわけではありません。
また年金受給額はここ2年マイナス現象が続いており、今後も減る可能性は十分にあります。年金対策を頑張っても、増やせない可能性があるということです。
こうしたリスクを分散させるためにも、貯蓄額のアップ、さらには年金受給額のアップという両面の対策が必要になるでしょう。
参考資料
- 日本弁護士連合協会、消費者問題対策委員会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2021年12月)
太田 彩子