4月23日のフランス大統領選挙第1回投票後、金融市場はリスクオンモードに突入。そして今週、日本は大型連休に入っています。日本勢不在の為替市場では、“ミセスワタナベ”と呼ばれる日本の個人為替投資家の損切を狙う値動きが生じる可能性は否定できません。
北朝鮮情勢に変化のない中、米国の連邦公開市場委員会(FOMC)や4月雇用統計の発表などを控える4月30日の週の為替市場を概観します。
先週の為替動向振り返り
フランス大統領選挙では、5月7日に無所属のマクロン氏と極右政党のルペン氏の決選投票が行われますが、主要政党が反ルペンで結束することが予想され、マクロン氏の勝利が見込まれています。これでブレグジットやトランプ大統領誕生のようなサプライズなく終わることがほぼ決まり、金融市場はリスクオンモードになりました。
金融市場は、フランス大統領選挙に先立つ週の後半から値動きが少なくなっていましたが、選挙後の先週初めから為替市場はドル/円、ユーロ/ドルともに窓を開けて上昇しました。特にドル/円は111円台後半まで約2円の上昇を見せ、その前の週と合わせると2週間で3.5円以上の上昇となっています。
金・原油及びドルインデックスの動向
フランス大統領選挙を契機にリスクオンモードに入った各市場ですが、一足先に下落を開始していた金価格や原油価格(WTI)には大きな動きはありませんでした。
注目したいのは、ドルの他通貨に対する相対的な強さを表すドルインデックスです。ドルインデックスは24日に窓を開けて下落。その後レンジ相場を形成しましたが、25日に年初来安値を更新しました。
年初来安値更新後に反発しレンジ相場に戻されはしましたが、窓を埋めるほどの上昇はなく、年初来安値水準のまま4月半ばから継続している下落トレンドが維持されることとなりました。
そして、ドルインデックスの下落の中で本来下落するはずのドル/円が上昇。リスクオンモードに入って日本の株式市場も堅調に推移した結果、ドル/円とドルインデックスが非相関する値動きを見せることになりました。
今週の為替動向見通し
今週の日本は大型連休のため東京時間の値動きが特に少なくなると予想されます。しかし、北朝鮮情勢を中心とする地政学リスクは依然変化なく、FOMCの声明発表が3日(日本時間では4日早朝)、米雇用統計が5日に発表されるなどのイベントを控えています。
為替市場では、時に“ミセスワタナベ”と言われる日本人個人為替投資家の損切りを誘うような値動きを見せるケースがあります。大型連休中は日本人投資家の休みを狙い、海外勢が大きな値動きを仕掛ける可能性があるので要注意です。
特に足元で北朝鮮問題という地政学リスクを抱えており、またFOMCや米雇用統計の発表も控えているため、為替市場は一気に動く可能性があるとの認識は必要不可欠となります(なお、今回のFOMCでは政策金利変更の予想はされていません)。
また、ドルインデックスが下落する反面、ドル/円は上昇しており、両者の非相関した関係が今週以降どうなるのかも注目したい点です。
まとめ
4月上旬から地政学リスクの高まりでリスクオフモードの金融市場でしたが、ある程度予想されていた結果とはいえ、波乱のなかったフランス大統領選挙を契機に市場はリスクオンモードに突入しました。ただし、地政学リスク、特に北朝鮮情勢は変化がないという認識は大切です。
そんな中で日本は大型連休入り。日本勢を狙った海外勢の仕掛けの可能性も考えられる中、FOMCに加え雇用統計の週でもあり、為替市場の値動きには十分な注意が必要と考えられます。
LIMO編集部