3階部分の「年金払い退職給付」が新設

新たに創設された「年金払い退職給付」が気になる方もいるでしょう。

「年金払い退職給付」は公務員独自の制度であり、民間の企業年金に相当する労使折半の年金です。

民間では企業年金を有する企業が過半数を占めており、それを校了する対応として創設された背景があります。

そんな年金払い退職給付ですが、実際には退職手当と2本建てで老後に支給されます。

出所:国家公務員共済組合連合会「共済年金は厚生年金に統一されます」

また年金払い退職給付は、半分を「有期年金」、半分を「終身年金」として受け取れます。

  • 有期年金:10年、もしくは20年。途中で死亡した場合、残りは遺族が受給
  • 終身年金:一生涯受給。死亡した時点で支給が終了

もしくは、一時金として一括受給することも選択可能です。

気になる金額ですが、毎月の標準報酬月額および標準期末手当等の額に付与率(労使あわせて1.5%を上限)を乗じた「付与額」を毎月積み立て、利息を加えた「給付算定基礎額」を基に算定されます。

公的年金のような賦課方式ではなく積立方式のため、将来の受給額を正確に試算することはできません。

参考までに、国家公務員共済組合連合会「退職等年金給付制度の平成30年財政再計算および財政検証(平成29年度末)の結果について」よりモデルケースをご紹介します。

平成27年モデル年金額の計算の前提
  ・ 平均標準報酬月額  : 40.5万円
   ※ 国共済(平成30年3月末)と地共済の全組合員の標準報酬月額の平均値
  ・ 組合員期間       : 40年加入(20歳~60歳)
  ・ 支給開始年齢      : 65歳
  ・ 有期年金の受給期間 : 20年を選択
  ・ 付与率           : 1.50%
  ・ 基準利率         : 0.20%

もし20年受給を選択した場合、年金月額は1万6007円(終身退職年金:7466円、有期退職年金:8541円)です。こちらが厚生年金等に上乗せされるということですね。

また公務にもとづく負傷、または病気により、障害の状態になった場合や死亡した場合には、「公務上障害・遺族年金」が支給されます。

これらの制度により、公務員の年金は実質3階建てを保てているとも言えるでしょう。