2022年は約3割の銘柄が公募割れのIPO市場

2022年の国内株式市場は、日経平均2万6000~2万8000円の間を上下する方向感のない状態が続いています。ただし国内IPO市場は、公募割れ(IPO後の初値が公募及び売出価格を下回る)が相次いでいます。

1月から6月までの公募割れ件数は下記推移です。

  • 2022年1月 IPO件数0件(公募割れ0件)
  • 2022年2月 IPO件数7件(公募割れ2件)
  • 2022年3月 IPO件数8件(公募割れ3件)
  • 2022年4月 IPO件数9件(公募割れ1件)
  • 2022年5月 IPO件数1件(公募割れ0件)
  • 2022年6月 IPO件数12件(公募割れ5件)

2022年は6月までに37銘柄がIPOしましたが、約3割の11銘柄が公募割れです。IPO投資家には厳しい年となっています。

個人投資家がIPO投資を行う際の注意点、初値付近で売ること

IPO投資は簡単にいえば、IPO株を抽選などで取得し初値が付いたら売る、というものです。

しかし2022年のIPO銘柄は公募割れが相次いでおり、投資家は初値が付いた後も継続保有する誘惑に駆られがちです。

人間心理としては、多少でも含み益の状態なら決済しやすい反面、若干でも含み損だと決済しにくい、といえます。

IPO投資は繰り返しとなりますが、「IPO前に株を取得して初値が付いたら売却する」という投資手法です。よって、初値が付いた後のことは想定しておらず、淡々とルール通りに決済すべきです。

初値が付いた後に、「含み損だから売れない」として継続保有することは、IPO投資では本来想定していません。

初値で売らないともっと悲惨なことになるケースも

公募割れの銘柄に投資してしまったら、素直に負けを認める必要があります。それは、「ルール通り取引を行うべき」という理由もありますが、「公募割れ銘柄を継続保有すると傷口を更に広げる可能性が高い」という理由もあります。

2022年の公募割れ銘柄で、その後更に株価が下落した銘柄を下記に取り上げました。

  • 2022年4月21日IPO:ASNOVA(9223) 公募1630円、初値1499円、2022年7月25日終値780円
  • 2022年6月28日IPO:ヌーラボ(5033) 公募1000円、初値955円、2022年7月25日終値674円
  • 2022年6月29日IPO:マイクロアド(9553) 公募1410円、初値1290円、2022年7月25日終値898円

残念ながら日本の株式市場では、初値天井となってしまう銘柄が少なからずあります。IPO投資でそのような銘柄を購入してしまった場合、初値が付いた後も継続保有すると時間の経過とともに含み損が増える結果につながります。

「公募割れでIPOしても継続保有すればいつか株価は上がるかもしれない」という希望的観測から含み損の銘柄を継続保有する投資家も少なくありません。

しかし、IPO投資は機動力重視の投資手法です。また継続保有するなら、そのための銘柄分析が必要となります。単に、「損切りするのが嫌だから」と公募割れ銘柄を継続保有することは、投資資金の行方を運に任せる丁半バクチと同じことになりかねません。