日本で「貯蓄1000万円」はどれくらいか
次に、貯蓄1000万円の世帯がどれくらいの割合か確認します。
総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」の「貯蓄現在高階級別世帯分布」を参考にします。
貯蓄1000万の割合
- 貯蓄1000万円:5.3%
- 貯蓄1000万円以上:51.2%
貯蓄の平均値は1880万円でした。ただ、平均は一部の富裕層の影響を受けるため、より実態に近い中央値をみると1104万円となります。
平均を下回る世帯は67.6%と約3分の2を占めていることが分かりました。
続いて、勤労者世帯に絞った結果も見てみましょう。
勤労者世帯の貯蓄1000万の割合
- 貯蓄1000万円:5.2%
- 1000万円以上:42.5%
貯蓄の平均は1454万円、中央値は833万円と下がります。
貯蓄を多く保有しているのは高齢者世帯が多いと言われますが、その実態を数字で見てみましょう。
二人以上世帯の世帯主の年齢階級別の貯蓄現在高で確認します。
貯蓄現在高と負債現在高
- 40歳未満:貯蓄726万円・負債1366万
- 40代:貯蓄1134万円・負債1172万
- 50代:貯蓄1846万円・負債692万
- 60代:貯蓄2537万円・負債214万
- 70歳以上:貯蓄2318万円・負債86万
40代までは負債の方が多く、年齢が上がるにつれて負債が減り、貯蓄が増えています。
貯蓄の面から考えると、日本企業のスタンダードな雇用制度である終身雇用制度は、年齢が上がるにつれ所得が増える仕組みであり、このことが貯蓄の多さにつながっているのでしょう。
負債の面から見ると、40歳までは自身の奨学金を払っている方も多いことや、30~40歳で自宅を購入する世帯が多く、ローンの金額が負債の額に影響していると考えられます。
ただし、先ほど述べた終身雇用制度については既に変化していて、厚生労働省・職業安定局の「我が国の構造問題・雇用慣行等について」によると、若年層の正社員が同一企業で働く割合は、年々低下傾向にあります。
これからの時代を生き抜くには、所得アップには自身のスキルアップが欠かせないと言えるでしょう。