老後への不安が高まり、日本の平均年収が上がらないと言われる中での相次ぐ値上げ。

お金に対する不安や不満が高まる一方で、「1000万円」という金額に憧れを抱く方もいらっしゃるかもしれませんね。

1000万円を年収で達成するのと、貯金で達成するのはどちらが幸せなのでしょうか。

今回は1000万という金額について、年収と貯蓄の面から考えていきましょう。

日本で「年収1000万円」は何パーセントか

まずは国税庁 「令和2年分 民間給与実態統計調査」より、日本で年収1000万円を達成している人の割合を見ていきましょう。

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出典:国税庁 「令和2年分 民間給与実態統計調査」

年収1000万円以上の人数と割合

  • 年収1000万円:175万3000人・3.4%(男性5.2%、女性0.7%)
  • 年収1000万円以上:240万6000人・4.6%(男性7.1%、女性1.1%)

年収1000万円以上は割合から見ると、およそ20人に1人と考えられます。

上の資料は給与所得者5245万人の結果のため、個人事業主なども含めればそれ以上になるでしょう。

日本で「貯蓄1000万円」はどれくらいか

次に、貯蓄1000万円の世帯がどれくらいの割合か確認します。

総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」の「貯蓄現在高階級別世帯分布」を参考にします。
 

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出典: 総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」

貯蓄1000万の割合

  • 貯蓄1000万円:5.3%
  • 貯蓄1000万円以上:51.2%

貯蓄の平均値は1880万円でした。ただ、平均は一部の富裕層の影響を受けるため、より実態に近い中央値をみると1104万円となります。

平均を下回る世帯は67.6%と約3分の2を占めていることが分かりました。

続いて、勤労者世帯に絞った結果も見てみましょう。

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出典: 総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」

勤労者世帯の貯蓄1000万の割合

  • 貯蓄1000万円:5.2%
  • 1000万円以上:42.5%

貯蓄の平均は1454万円、中央値は833万円と下がります。

貯蓄を多く保有しているのは高齢者世帯が多いと言われますが、その実態を数字で見てみましょう。

二人以上世帯の世帯主の年齢階級別の貯蓄現在高で確認します。

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出典: 総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」

貯蓄現在高と負債現在高

  • 40歳未満:貯蓄726万円・負債1366万
  • 40代:貯蓄1134万円・負債1172万
  • 50代:貯蓄1846万円・負債692万
  • 60代:貯蓄2537万円・負債214万
  • 70歳以上:貯蓄2318万円・負債86万

40代までは負債の方が多く、年齢が上がるにつれて負債が減り、貯蓄が増えています。

貯蓄の面から考えると、日本企業のスタンダードな雇用制度である終身雇用制度は、年齢が上がるにつれ所得が増える仕組みであり、このことが貯蓄の多さにつながっているのでしょう。

負債の面から見ると、40歳までは自身の奨学金を払っている方も多いことや、30~40歳で自宅を購入する世帯が多く、ローンの金額が負債の額に影響していると考えられます。

ただし、先ほど述べた終身雇用制度については既に変化していて、厚生労働省・職業安定局の「我が国の構造問題・雇用慣行等について」によると、若年層の正社員が同一企業で働く割合は、年々低下傾向にあります。

これからの時代を生き抜くには、所得アップには自身のスキルアップが欠かせないと言えるでしょう。

年収1000万円の「所得税額」や「所得制限」の内容は?

年収1000万円になると、収入が上がったことは嬉しい反面、税負担や所得制限にかかり、素直に喜べないという方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。その点を確認していきます。

所得税は累進課税のため、給与が上がるほどに税率が上がり、税負担が多くなる仕組みです。1000万の所得税額の金額を、日本の平均年収と言われる433万円と比較してみましょう。

1000万の所得税の金額

  • 所得税:1000万円×33%-153万6000円=176万4000円

433万の所得税の金額

  • 所得税:433万円×20%-42万7500円=43万8500円

収入の差が約2.3倍に対して、税金の負担で見ると約4倍となります。イメージしているより手取りで考えると少なくなり、収入が上がっても思っていたより生活がラクにならないと感じる方もいるでしょう。

次に、所得制限の対象になるものとして児童手当があります。

まずは児童手当の内容を確認しましょう。支給の対象となるのは中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方となります。

児童手当の額(一人あたり月額)

  • 3歳未満:一律1万5000円
  • 3歳以上小学校修了前:1万円(第3子以降は1万5000円)
  • 中学生:一律1万円

児童手当は扶養人数により異なりますが、目安として年収が960万円を超えると所得制限の対象となり一律5000円に下がります(所得制限になる年収は扶養人数により異なります)。

さらに、2022年10月からは目安の年収として、1200万円を超えると児童手当の支給がなくなります。

「年収1000万円vs貯蓄1000万円」結局、幸せになれそうなのはどっちだ?

結局、年収1000万円と貯蓄1000万円ではどちらのほうが幸せになれそうでしょうか。

まず、年収1000万円以上を稼ぐ人は、全体で4.6%と決して多くはない割合でした。所得があがらない日本と言われる今、税負担や所得制限があったとしても、この割合の中に存在していること自体は「幸せ」と考えられるかもしれません。

ただし、年収1000万を稼ぐには、働く時間を多くとっている場合や、休日であってもスキルや知識を鍛え高め磨きをかけていくなど、それ相応の時間を取り「努力を継続」していることが考えられます。その結果、高い年収を維持できているのでしょう。

次に貯蓄1000万円ですが、もし、年収が1000万円に届かない場合であっても、今の段階で手元に貯蓄が1000万円あるご家庭は、貯金ができているということになりますね。収入から貯蓄に回す習慣ができており、家計のやりくりが上手だと言えそうです。

1000万円も貯蓄するというのは、日々の生活の中で倹約を意識していることでしょう。努力あってこそですが、貯蓄を継続できるなら、将来資金の準備も期待でき、老後、安心した生活を送るイメージができますね。それも「幸せ」なことだといえるでしょう。

どちらの「幸せ」も、手にするには「継続した努力」が必要になるということです。継続は力なりと言いますが、どちらにおいても努力の賜物と言えるでしょう。

この「継続する」というのは貯蓄や資産運用にとっても大事なことの一つです。山あり谷ありの相場の中で資産運用を継続するということが、いかに難しいかを経験されてきた方もいるかもしれませんね。

将来に向けてまとまった貯蓄をつくるのは、一朝一夕ではできません。貯蓄の一部を資産運用にして結果を出すならば、こちらも長い年数をコツコツと「継続する」ということを心に留めていただくと良いでしょう。

参考資料