富士フイルムホールディングス(4901)が、海外子会社の会計処理の問題発生を受け決算の延期を発表しました。発表後、同社株価は窓を開けての下落となっています。
2013年から2015年に大幅に上昇した富士フイルムHDの株価ですが、2016年以降は業績動向も影響してか株価も伸び悩んでいます。その中で発覚した海外子会社の会計問題。株価は2016年に付けた安値3,600円台に向かうことになるのでしょうか。富士フィルムHDの業績と株価を振り返りながら、今後の株価ポイントを考えてみます。
海外子会社の会計処理問題で決算発表を延期
富士フイルムHDは、2017年3期決算の延期を発表したことについて、海外子会社における会計処理の妥当性に確認が必要になったためとしています。過去数年にわたる純利益に与える影響は約220億円の損失の見込みで、第三者委員会の設置も発表されました。
問題が発生したのは、連結子会社の富士ゼロックスの海外販売子会社である富士ゼロックス・ニュージーランドで、2016年3月期以前の一部リース取引が確認の対象となっています。
富士フイルムHDの業績は横ばい
写真フィルムの会社から、医療および複合機を中心とした会社に変貌を遂げた富士フイルムHD。成長性の高いイメージのある同社の足元の業績は、安定しているということもできますが、実際のところは成長のきっかけを探しているという状況です。
2014年3月期 売上高2兆4,400億円、税前利益1572億円、当期純利益810億円
2015年3月期 売上高2兆4,926億円、税前利益1,971億円、当期純利益1,186億円
2016年3月期 売上高2兆4,916億円、税前利益1,945億円、当期純利益1,233億円
2017年3月期(予想)売上高2兆4,000億円、税前利益1,920億円、当期純利益1,120億円
株価は2015年まで伸び続けるもその後は頭打ち
業績の伸びを背景に、2012年11月から2015年は富士フイルムHDの株価は一貫して上昇しています。2012年11月に1,300円付近に位置していた株価は、2015年8月には5,000円台に突入。株価は3倍以上の伸びを見せました。
しかし、2015年8月と2016年1月に4,500円付近でチャートはWトップを付ける形となり、2016年より株価は下落に転じます。大幅な株価の下落には至っていませんが、株価は頭打ちの状態となっています。
テクニカルで見た場合の株価の下落水準
今回、子会社の会計問題を受け、富士フイルムHDの株価は窓を開けての下落となり、発表の翌日(4月21日)の終値は前日比▲168円(▲4.04%)の3,987円で年初来安値を更新しました。
今後、株式市場が同社の会計問題をどのように受け止めるのか非常に興味深いところですが、株価下落の場合、ポイントとなるのは2016年7月末に付けた2016年の最安値でもある3,647円です。この3,647円を明確に下回ると、チャートのダウ理論的にも、高値の切り下がりに加え安値の切り下がりも確定するため、下落トレンド入りが確定となります。
子会社の会計問題の影響が一時的なものであれば、3,600円付近にまで株価は下落しない可能性もありますが、影響が長引き株価の下落が継続の場合、3,647円という株価は要注意ポイントとなります。
まとめ
東芝が米国子会社の問題で経営危機に陥るなど、株式市場は海外子会社の会計問題に神経質になっている中、富士フイルムHDは海外子会社を原因とする決算延期の発表を行っています。
子会社の会計問題発覚に、まずは窓を開けての下落で反応した富士フイルムHDの株価は、昨年の最安値水準の3,647円に向かって下落してしまうのか、それとも一時的な下落にとどまるのか。今後の株価の行方、そして同社の発表に注目したいと思います。
LIMO編集部