2022年7月2日にログミーFinance主催で行われた、第38回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第3部・サクサホールディングス株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:サクサホールディングス株式会社 代表取締役社長 丸井武士 氏
元・ファンドマネージャー/元・ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
タレント/ナレーター 飯村美樹 氏

本日のご説明内容

丸井武士氏(以下、丸井):サクサホールディングスの丸井です。本日はサクサホールディングスの会社概要および現状、今後の取り組みについてご説明していきたいと思います。こちらが本日のご説明内容になります。よろしくお願いいたします。

はじめに

丸井:最初に、こちらの音をお聞きください。

(電話機の音)

みなさま、この音をテレビやオフィスなどで聞いたことはありませんか? これはたくさんのボタンが付いている電話機として、日本のオフィスでよく活用されています。名前はビジネスホン、またはマルチ・キーテレホンと呼ばれており、この装置を開発しているのがサクサグループです。みなさま、ぜひ覚えてください。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):サラリーマン時代を思い出して懐かしいです。いつも会社で怒られる時に電話がかかってくる音だと思っていました。

モノづくりの歴史

丸井:モノづくりの歴史についてご説明します。当社は日本の通信インフラ技術の発展に貢献してきた企業です。先ほどお伝えした電話の技術を応用し、公衆電話や秘書電話、ビジネスホンを開発し販売してきました。

最近では日本のオフィスで、安心・安全に取り組むことができるネットワークのセキュリティ機器や映像の監視カメラを開発し、販売しています。もともと音声の通信インフラを核としていた田村電機製作所と、大興電機製作所の両社の技術を基に成長してきた企業です。

サクサホールディングスの歴史

丸井:当社の歴史についてご説明します。1932年創業の大興電機製作所と、1946年創業の田村電機製作所が合併し2004年に設立した企業です。したがって、創業90年の歴史がある、いわゆる老舗の企業になります。

坂本:合併したきっかけや理由がありましたら、教えていただきたいです。

丸井:当時、当社が取り組んでいたビジネスホンやアミューズメント機器、防犯・防災に関しては競合が非常に激しい市場でした。そのような中で、同じことを行っていた企業同士が両者の強みを生かして基盤を作っていきたいと経営統合して設立したという経緯があります。

坂本:合併した時の売上規模はどのぐらいだったのでしょうか?

丸井:当時はそれぞれの企業が売上を持っていたため、設立当初は売上高650億円、営業利益40億円の数字となっています。

田村電機製作所は山形県米沢市の塩井に工場を創置しましたが、実は昭和35年5月に昭和天皇、皇后両陛下が御幸していただいた、由緒ある創業の地になります。なかなか知られていませんが、天皇がお越しになった時の写真や椅子などが飾ってありますので、もし興味があれば来ていただければと思っています。

会社概要

丸井:会社概要になります。資本金が約108億円、従業員が約1,108名の企業になります。本社は東京都港区白金の、白金高輪駅の近郊にあります。全国に開発、生産、営業、主要都市に保守の拠点を構えています。自社で開発し製造する商品・サービスを展開しているプロダクト事業と、顧客の課題を解決するソリューション事業で事業を構成しています。

企業理念

丸井:企業理念とビジョンについてです。ビジョンは「つなげる技術の、その先へ。」です。「つなげる技術」とは、モノづくりとコトづくりを通じて人と人、人とモノ、モノとモノをつなげる技術のことを言っています。この「つなげる技術」を核に、さまざまなステークホルダーのみなさまとの共創によって社会の発展に貢献することを目指しています。

サクサグループの事業ポートフォリオ

丸井:事業ポートフォリオになります。当社の強みである「音声」「通信」「映像」の技術を核に、企業のDX化を支援する商品、サービス、ソリューションを提供できることが強みです。

坂本:スライドに記載の売上高比率について、基盤と成長の2つのセグメントに分けられていますが、この比率は近年変わってきているのでしょうか?

丸井:大きくは変わっていませんが、スライド左側に記載している成長事業のネットワークセキュリティ機器および映像関係については売上が成長しています。

事業の分け方についてですが、もともと基盤事業は先ほどもお伝えしたように老舗企業であるため、長年の取り組みで築き上げてきた顧客基盤と当社の専門性の高い技術を展開してきた事業を基盤事業と位置づけており、成長事業においては市場性もあり、当社の強みが生かせる事業として分けています。

これまで基盤事業において展開してきた内容はビジネスホン、公衆電話、防犯・防災設備機器、アミューズメント向け機器、非常通報装置になります。成長事業においては、ネットワークセキュリティ機器や映像機器、IoTやAIを活用したメンタルヘルスを展開しています。現在の売上高は基盤事業が7割、成長事業が3割の比率であるとご理解ください。

事業紹介(働き方改革:音声コミュニケーション)

丸井:まずは創業技術である音声通話、音声コミュニケーションのビジネスホンについてご説明します。最近では、情報の送受信はメールやチャットのコミュニケーションが主体となっていますが、意思疎通がなかなか図れないとなった場合の最後の砦はやはり音声での会話になります。音声での会話は、市場においてなくならないものと考えています。

現在は携帯電話やスマートフォンを活用することで、いつでもどこでも音声での会話ができる環境が整っています。また、最近ではスマートフォンも内線電話につながるようになっているため、スマートフォンや社内の電話を活用していつでもどこでも効率よく、リアルタイムにお客さまの取引先や、社内の人と連絡できるといったワークスタイルの変革に貢献できる装置として展開しています。

坂本:御社の主力であるビジネスホンについて質問です。私が会社員だった10年くらい前の話になりますが、その当時の感覚としては、短縮ダイヤルが大量にあり使っていたという記憶があります。コンプライアンス上、金融機関が間違って電話をかけてしまうとまずいため、短縮ダイヤルを振ってそれを必ず押すようにしていました。FAXを含めて、この10年間における進化はあったのでしょうか?

また、スマートフォンの時代における情報共有についてお話がありましたが、ビジネスホンの現状と環境、利用について教えていただきたいです。

丸井:基本的には、誰かが電話を取って誰かに転送することを考えた上で非常にたくさんのボタンが付いていました。ランプが点くと、どうしても代わりの誰かが電話を取ったり、転送したりすると思います。

その考えから大きく変わってはいませんが、時代の流れで変化したことは、社外にいても社内と同じように業務が行えるようになったことです。会社に電話がかかってきた場合でも、個人番号のスマートフォンに自動で転送されるため、社内の電話にスマートフォンで応答することができます。

また、スマートフォンにはアプリケーションがあるため、社内の電話と同じようなかたちで外でも業務ができるようになってきたところに大きな変化を感じています。短縮ダイヤルは会社の中で使うものでしたが、今ではスマートフォンでも電話帳などを使って同じように電話ができます。

ビジネスホンは社内オンリーとして使われていましたが、社外にいても同じように使えるというメリットがあるため、最近では非常に大きく変わってきています。先ほどお伝えしたワークスタイルの変革に貢献できる装置として、今も企業で使われています。

坂本:コロナ禍でまた一段と進んでいったというイメージですね。販売はいろいろな方式があると思いますが、こちらはリースになるのでしょうか? 代理店を使って販売しているのかについても含めて、販売形態を教えていただきたいです。

丸井:当社は基本的に代理店販売をメインとした間接販売になります。ただ、お客さま自身はリースを組みたいということで、最終的にはリースで利用されている状況です。

先ほどもお伝えしましたが、当社には長年築いてきた販社があり、全国で常に動いている会社は500社以上になります。そのようなかたちで販売していただいています。

事業紹介(セキュリティリスク:情報セキュリティ)

丸井:ネットワークセキュリティ機器について、みなさまも最近、サイバー攻撃という言葉をよく聞かれると思います。情報セキュリティにおいては、標的型攻撃やマルウェア感染、Webサイトの改ざん、PC・記憶媒体の盗難、操作ミスなどの多様なセキュリティリスクがあります。

このようなセキュリティリスク、社内外のリスクを回避することができるものが、こちらのネットワークセキュリティ機器になります。ネットワークセキュリティ機器を導入することで多様な脅威から守ることができますので、企業や日常生活において安心して活動できるというメリットがあります。

坂本:こちらを中小企業に絞っている理由について教えていただけたらと思います。大企業になるとセキュリティ専門の部署のようなものがあり、自社で管理できてしまうためなのか、または、中小企業の規模なら機器販売だけでなくサポートもできるためという理由なのかについて教えてください。

丸井:当社製品の特徴としては、日本の市場で求められている、高品質、簡単設定、簡単設置が可能であり、サポートがよいことがポイントとしてあります。中小企業のみなさまは本業に注力したいため、IT担当が置けない状況だと思います。

そうすると「IT担当を誰かに任せたい」となりますが、いろいろなことを求められた場合でも、当社はすでに簡単設置や簡単設定などが対応できるため、IT人材のいない中小企業をターゲットに展開している状況です。

坂本:ネットワーク機器も販社経由の販売になるのでしょうか? または御社が直接対応されているのでしょうか?

丸井:ネットワーク機器も販社経由の販売になります。ただ、当社はコールセンターやサポート業務も全部用意しているため、充実したサポートとセットで展開しています。

事業紹介(健康経営:ヘルスケア)

丸井:AIやIoTを活用したメンタルヘルスケアサービスです。最近では従業員の健康管理を経営視点で考える健康経営や、働き方改革が求められています。

当社のメンタルヘルスケアサービス「cocoem.」はご覧のとおり、統計的データ分析と予測機能を備えているため、企業のメンタルヘルスケアを支援するサービスとして活用できます。本サービスはマウスやスマートフォンを活用して実施できますので、日常活動において意識することなく日々のストレスや脳疲労を測定・分析して、現在の状態について的確に可視化、予兆、アドバイスを実現できるサービスになっています。

坂本:こちらはアンケートに答えるといった、よくあるストレスチェックのようなイメージでよろしいでしょうか?

丸井:ストレスチェックとは異なります。こちらは日常で使っているマウスやスマートフォンを触るだけで日々のデータを自然に収集することができますので、情報を分析して可視化し、データの中から「このようになっていくだろう」と予測までできるところが特徴となっています。

坂本:非常によくわかりました。

事業紹介(労働者不足:映像・AI活用)

丸井:当社が注力している、映像・AIのソリューションになります。当社は顧客のニーズに対して、映像、IoT、AIを組み合わせることで、お客さまにとって最適な機器選定からシステムのカスタマイズ、開発、構築、保守、運用までをワンストップで対応できるという強みを持っています。

この強みを活かしてさまざまなパートナーとのアライアンスにより、人や人の行動、物体、建物を活用し顧客課題を解決するシステムを実現しています。

事業紹介(事例:入退場車認証システム)

丸井:具体的な事例をご説明します。アート社の入退場管理システムと当社のグループ会社であるシステム・ケイ社の車両ナンバー認識技術を連携させた入退場車認証システムについてご紹介します。

今までは駐車場などの車両管理において、警備員が登録されている情報を基に車のナンバーを確認して入退場管理を行っていましたが、このシステムは入退場する車のナンバーを自動で読み取り、入退室許可を自動判定します。そのため、車両ナンバーを登録するだけで車両の入退場管理ができる安価なシステムになっています。

坂本:このようなシステムは最近増えてきていますよね。

丸井:おっしゃるとおりです。当社の特徴は、標準化、パッケージ化を行っているため非常に安価でシステムを提供できることと、多様なカメラに対応できるため、現状設置してあるカメラをそのまま利用したり、この後ご説明する顔認証システムと連携したりできることです。

坂本:その部分について詳しく教えてください。

事業紹介(事例:入退室顔認証システム)

丸井:アート社の電子錠と、日本コンピュータビジョン社の入退室管理システム、システム・ケイ社の顔認証の技術を組み合わせた入退室顔認証システムをご紹介します。このシステムは、ビルやオフィスに設置してある監視カメラをそのまま利用し、映像解析による顔認証と入退場管理システムを連携させた一元管理ができます。

今まで必要だった入退場管理専用のカードが不要になるため、カードの紛失や盗難のリスク、カードを発行する費用や工数を削減できるメリットがあります。

坂本:御社やシステム・ケイ社はどのような部分に関わっているのでしょうか?

丸井:映像解析による顔認証の部分を当社が担当しています。

業績

丸井:当社の業績について、昨年度売上が約308億円、経常利益が約4.7億円、親会社株主に帰属する純利益が約12億円で配当が30円となります。昨年度は半導体不足による部品入手難と部品調達価格の高騰による原価高により、営業利益が大きな影響を受けたという結果になっています。

坂本:仕入の部分で売上が落ちてしまったというお話でしたが、新収益基準の影響はどのくらいありますか?

丸井:売上で42億円、営業利益で2億円の影響がありました。

坂本:大きいですね。新収益基準の変更も1つの要因だったのですね。

丸井:そうですね。

坂本:サプライチェーンの寸断について、半導体とひとくくりで言っていますが、どのあたりが足りなかったのでしょうか?

丸井:実は特定の部品ではなくて、あらゆる商品がワールドワイドで影響を受けました。私も過去に経験したことがないような、すべての部品に影響が出る結果であったため、これという特定はなく多様な部品に影響があったというのが実態です。

坂本:それは現状も同じような状況ですか? それとも大分改善されているのでしょうか?

丸井:ものによっては改善されました。しかしCPUや半導体の重要部品はワールドワイドで取り合っていて、需要と供給のバランスが非常に悪い状態です。商社やベンダーと直接対応していますが、今年度いっぱいは影響を受けると予想しています。

坂本:最悪期は脱出しているイメージですか?

丸井:そうですね、そのようなところはものによって一部出てきました。今後、ウクライナの関係で、兵器に使用されてまた出回ってこなくなるという新たな問題が発生する可能性を懸念して、今動きつつあります。

坂本:売上が減少しているのは失注なのでしょうか? それともバックオーダーとして供給があれば出荷していくのでしょうか?

丸井:実はお客さまから注文をいただいています。

坂本:出荷を待っていただいている状態で、売上計上が済んでいないという話ですね。

丸井:ものが作れない状況のため、作れればすぐにお渡しします。営業側から言うと、お客さまから早く納品してほしいと注文をいただいていますが、今は製品が作れないためご提供できない状態です。お客さまに非常にご迷惑をかけてしまっており、当社としては少しでも部品を集めて少しでも早くものを提供することに注力しています。

坂本:原材料などの価格転嫁について教えてください。

丸井:新商品やバージョンアップ販売のときから、部材が高騰した分についてはお客さまにご説明して、価格転嫁を行っている状態です。

株価の推移

丸井:当社の株価の推移についてご説明します。いろいろなイベントごとによって株価は変動していますが、当社のものづくりを主体とした事業と連動していませんので、そのように市場で評価されていると判断しています。

事業ポートフォリオの変革

丸井:市場評価の向上にむけた取り組みについてご説明します。当社はものづくりを主体とした通信機器メーカーでしたが、今後は情報・通信サービス企業へ事業ポートフォリオを転換していきたいと考えています。

先ほどもご説明したとおり、当社は商品のものづくりと付加価値サービスを同時に提供できる強みを活かし、市場ニーズの高い付加価値サービスを作り出しご提供することで、情報・通信サービス企業へとポートフォリオを転換していきたいと考えています。

坂本:ビジネスホンは今後どのような成長をする見通しなのか、イメージを教えてください。

丸井:ビジネスホンは国内規模が現在約400億円の市場になっています。当社はOEMなども行っており、製造メーカーシェアとしては30パーセント強あります。この市場は今後微減していきますが、付加価値サービスやスマートフォンを活用した音声コミュニケーションサービスなどいろいろなサービスを付加することで、事業の維持拡大を行っていこうと考えています。

坂本:アミューズメント事業についてもお話がありましたが、こちらの売上は今後減っていくのでしょうか?

丸井:現在機器の交換が終わり、400万台弱まで市場が縮小してきました。今後も少しずつ減ってくるのですが、大きなイベントとして、11月からメダルやパチンコ玉を触らなくてよいスマート台展開の切り替えが確定しました。この事業においてリプレイス市場に展開できるため、今後は市場規模の拡大ができると考えています。

坂本:ちなみに御社のアミューズメント事業は、台のどのあたりと関わりがあるのでしょうか?

丸井:台と台の間にある紙幣やカードを入れる台間サンドという装置や台の中の玉を出す装置に関わっています。

事業ポートフォリオの変革

坂本:成長事業の部分で、ネットワークセキュリティを含めたところも注力されるということですが、ポイントをもう少し教えてください。

丸井:施策の具体的な内容についてご説明します。このネットワーク関連の市場はサイバー攻撃などで非常に話題になっている市場であり、年数パーセントの市場成長が見込まれています。

当社はそのSMB市場に10パーセント以上シェアを持っており、先ほどご説明した付加価値サービスを同時に提供することで事業の成長、拡大ができると思っています。

坂本:400億円の売上の見通しについて、M&Aはイメージに入っているのでしょうか?

丸井:入っています。当社の強みである、ものづくりと付加価値サービスを同時に提供することだけではなく、ワンストップでのソリューション実現し、お客さまにとって最適な提案ができるという強みを活かした事業成長をしていきたいと考えています。

M&Aやアライアンス、特にアライアンスを強化しながら、事業体によってはM&Aも行っていくという、セットで成長させることによって400億円を達成したいと考えています。

基盤事業は長年築いてきた顧客基盤があるため、ここについては製造業の強みと付加価値サービスで広げていき、成長事業はソリューションの強化とM&Aの取得によって事業拡大をしていきたいと考えています。

事業ポートフォリオの変革

丸井:先ほどからご説明している付加価値サービスについてですが、その中核となるのは、当社の「SAXA-DXサービスプラットフォーム」です。昨年度はオフィスで働く従業員の離職防止や生産性向上のためのメンタルヘルスケアサービス「cocoem.」を販売しましたが、今年度はいろいろな拡大を考えています。

働き方改革に対応するため、テレワーク中のスマートフォンを活用した音声コミュニケーションサービスや、IT人材が不足している中堅・中小企業が安心して日常の企業課題に取り組むための情報セキュリティサービス、オフィス内の情報機器の状態を可視化するサービスを提供していきたいと考えています。

事業成長シナリオ

丸井:そのような事業への取り組みによって当社の強みを活かし、生産性向上や働き方改革、健康経営といった社会や顧客の課題を解決する事業に注力することで成長させていきたいと考えています。基盤事業は約250億円、成長事業は約150億円の合計400億円を2026年3月期に達成するため活動していきます。

ESGの取組み

丸井:ESGの取り組みについてご説明します。当社が目指す企業は「明日へつなげる社会をつくる(お客様を明日の社会へつなげる)」です。実はサクサという名前の由来は、明日を咲かせるサクサから来ています。

当社の技術、テクノロジーを明日へつなげていく、お客さまを明日へつなげていくという意味で、サクサとつなげることを意識した企業としてビジョンを持って進めています。まずはみなさまに「明日を咲かせるサクサ」と覚えていただければと思います。

当社としては社会課題を解決する事業活動やステークホルダーの期待に応える企業活動を通じて、企業価値を向上させながら持続成長する企業となり、ESGに取り組むことを通じて持続可能な社会の実現、SDGsの達成に貢献していきたいと考えています。

ESGの取組み

丸井:具体的な取り組みをご説明します。環境分野においては、環境に配慮した事業活動、製品開発を行い、CO2排出量30パーセント削減達成を目指しており、今後は再生エネルギーの活用も行っていきます。

社会分野においては中堅・中小企業の課題であるIT人材不足や具体的なビジョンや戦略が立てられないといった社会課題についてDX化を支援する商品、サービス、ソリューションを使った事業活動を行っていきます。

また、社会が求めている働き方に対応できる人材の育成や、人事制度を醸成していくためにダイバーシティなどの委員会を立ち上げています。今後は健康経営にも取り組んでいきたいと考えています。

企業統治の分野においても、ステークホルダーである株主や取引先、従業員への利益還元をするためのガバナンス強化を継続的に実施していきたいと考えています。

株主還元策

丸井:配当方針についてです。株主還元を重要な経営課題の1つと位置付けており、企業価値向上に向けた必要な内部留保を確保しながら、実質的な当社の収益の見通しや経営環境を総合的に勘案した上で、連結配当性向30パーセントを継続して安定的に実施していきたいと考えています。

坂本:こちらは単体と言いますか、自社株買いなども入れた総還元性向で考えているのでしょうか? それとも自社株買いは別で配当を考えているのか、どちらでしょうか?

丸井:還元は別で、純利益ベースの30パーセント配当を目指して実施していきたいと考えています。

株主還元策(不動産収入について)

丸井:保有不動産の流動化・収益化を行います。当社は相模原と那須塩原、矢板の工場跡地を持っています。相模原は橋本駅というリニアモーターカーが通る最初の駅です。また、首都圏中央連絡自動車道、中央自動車道から近い土地であるため、非常に資産価値が高い場所だと認識しています。

昨年度に相模原は賃貸、那須塩原・矢板は売却を前提に優先交渉先を決定しました。今後は相模原で得られる不動産賃貸料の安定的な収益が見込めるため、この不動産収益の一部を配当原資とする考えです。今後事業で得られる利益と加算して、継続的、安定的な配当を実施していきたいと考えています。

坂本:機関投資家には売ればよいと考える人がいるかもしれませんが、あえての取り組みで、非常に面白いと思います。

丸井:得られる収益の一部は配当に、一部は成長投資に回していきたいと思っており、お客さまや取引先に対しても貢献していきたいと考えています。

坂本:安定原資ですね。こちらはもともと工場などがあった場所ですね。

丸井:そうです。すべて工場でした。ただ、相模原は現在工場として使っているのではなくて倉庫や開発関連などに使用しており、フルに利用できていません。そのため、有効に活用していただける方に使っていただいたほうがよいと考えて、このような取り組みを始めています。

これだけはぜひお伝えしたいこと

丸井:本日はご説明させていただき、ありがとうございました。みなさまに覚えていただきたいということで、最後にもう1度お伝えしますが、当社は創業90年の歴史ある老舗の企業であり、日本の通信インフラの発展に貢献してきた企業です。

今後は情報通信サービス事業やESG、SDGsに貢献して、永続的な企業価値の向上を目指していきます。また、配当に関しても、安定的かつ継続的な配当を実施している企業であるサクサホールディングスということを覚えていただければと思います。

Twitter アカウント開設のご案内

坂本:Twitterアカウントがあるのですね。

丸井:アカウントを開設したので、ぜひ本日ご視聴のみなさまからいろいろなご意見をお聞きしたいと思います。いろいろな情報を投稿したいと思いますので、みなさまぜひよろしくお願いします。

飯村美樹氏(以下、飯村):アカウント名は、@ir_saxaです。ぜひみなさま、フォローをよろしくお願いします。ここからは質問です。

質疑応答:コールセンターのテレワークについて

飯村:「例えば、ヘッドホンを装着してお客さまの問い合わせに電話口から答えているコールセンターのオペレーターは、テレワークで行われていると推察されます。御社の製品はどのように使われているのでしょうか?」といった質問をいただいています。

丸井:コールセンターの専用システムがありますので、簡易なコールセンター受付だけを行う場合は、当社のシステムを使っていただき、在宅でも対応できるかたちを取っています。先ほどお話しした、スマートフォンで内線電話を受ける際に、実は在宅でもそのスマートフォンに電話がかかってきたら、応答できるかたちをとって運用しています。CTIシステムに連動していれば専用の設備が必要になりますので、組み合わせることもできますが、簡単な受付業務であればベースのシステムを使っていただいています。

質疑応答:今後の注力製品や技術開発について

坂本:「現在および今後、御社が注力していく製品や技術開発など、素人でもわかるレベルの『ここがすごい』というものがあれば、教えていただきたいと思います」という質問です。

丸井:LINEでも通話ができるのはご存知ですよね? 実は、あれはボイスオーバーIPというのですが、データ通信と同じ環境で音声をデータ、つまりパケットに変えて通信します。このデータ通信は、パソコンなどと同じ通信技術をネットワークに使うのですが、元は違いました。

電話で話しているときは専用の回線を使っていたのですが、通常、同じようなIPの回線は音声ファイルを変換して送っていく技術です。うちのような技術力を持っている会社がなかなか少ないため、そのような技術を活かしながら、最近では、音声をテキスト化するような技術とも組み合わせて新しい形態を作り、技術の投資を行いながら広げていきたいということがあります。

さらに、映像解析技術については、現在カメラはそこら中にあり、人間の目の代わりに映像を録画し、分析、判断することが可能です。よくテレビで、全国のカメラから犯罪者が今どこに動いたか、車がどう移動したかといったデータがすべて取れるようになっていますが、これはすべて映像解析技術によるものです。

我々もそのような映像解析技術を活用して、いろいろな顧客や社会の課題を解決できる強みを持っていますので、ここをうまく広げていきたいと考えています。映像AIの市場は年成長率が数十パーセント以上見込まれている成長市場のため、ここに注力することで我々の事業拡大が可能だと考えています。

質疑応答:プライム市場について

飯村:「プライム市場にこだわる理由を教えてください」とのことです。

丸井:プライム市場におけるこだわりは、取引先の信用、銀行の取引の信用、優秀な人材の確保、従業員のモチベーション向上のためになります。当社の純資産総額は約230億円ありますが、市場の流通評価では約100億円弱です。ということは、市場に評価されていないと判断しています。

先ほどご説明したように、社会に貢献する事業活動やステークホルダーの期待に応える企業活動を通じて、企業価値を向上させることで、市場に正しく認知されれば、流通株式時価総額100億円以上の達成が可能だと考えていますので、プライム市場にこだわっています。

質疑応答:合併の経緯について

坂本:「2社の合併、経営統合は、固定電話機あるいは多機能電話機の需要の減少予測が背景にあったのでしょうか?」という質問です。きっかけのところをもう少し聞きたいということだと思いますが、いかがでしょうか?

丸井:電話に関しては、以前は1人に対し1台机にありました。先ほどもお話ししましたが、社内全員が電話を取ったり、誰か隣の人に転送したりといったことで1人に1台必要でした。

携帯電話やスマートフォンが出たことで社内の電話利用度が減りました。また、労働人口が減っているため、当然市場としても減っていくことが予想されていました。市場がどんどん減っていく中で、お互い同じような物を作っているのであれば、競合でいるよりは一緒に組んだほうがよいという考えのもとに統合に至りました。

坂本:もともと2社は仲がよかったのですか?

丸井:若干、市場が異なりました。

坂本:なるほど。本当にライバルだったら、合併はなかなか難しいですね。

丸井:対象になるオフィスの大きさの規模が、小さいオフィスでは2、3人から始まり、10人、50人と広がります。そのようなところで少し重なっている部分はあったのですが、基本的には離れていたためうまく組むことができました。田村電機製作所ではホームテレホンのようなものを作っていましたので、かなり小さいところも扱っています。大興電機製作所は、どちらかと言うと少し容量の大きいビジネスホンを作っていました。もともと同じようなものを作っていましたので、融合させることができました。

坂本:公衆電話もだいぶ減りましたね。

丸井:そうですね。実は当社の公衆電話のシェアは、100パーセントです。2011年の災害の時に、つながったのは公衆電話だけでした。

坂本:インフラも兼ねているのですね。

丸井:国から「災害電話として公衆電話を活用しなさい」ということで、公衆電話が日本には残っています。海外は残っていません。ただ、国が減らしていくという通達が出たので、今後どのように取り組んでいくか考えています。

坂本:この前、僕の子どもが使い方を知らなかったため教えました。「テレホンカードを初めて見た」と言われました。

丸井:まず、受話器を上げてお金を入れるところからですよね。

坂本:子どもが「電話がかからない」と言っているのを「かけてみな」と言って見ているのはおもしろかったです。そのようなインフラの部分も兼ねているのですね。

質疑応答:リスクとその対処法について

坂本:「18ページの将来の400億円の目標を達成するにあたってのリスクがあればお聞きしたいです」とのことです。主に外部要因だと思いますが、中国やロシアの影響、また材料の国産化などを含めて、さまざまなリスクとその対処法について、想定しているものを教えてください。

丸井:まず、リスクは半導体問題です。これを解決しないといけません。当社は物を作る強みがあり、工場も持っているため、昨年度から対策として調達改革プロジェクトを設置しました。今年は本部組織に発展させ、現在はベンダーや商社と直接、毎日交渉して物を確保する体制を作りました。その中で、調達状況に合わせた生産計画をリアルタイムで変更することで、生産の効率化を行っています。部品を汎用部品に切り替えたり、再設計したり、早期商品化へ開発との連携を強化しています。

また、大手電機メーカーと共同調達や共同設計をする体制を整えて、目先の半導体不足の対策として、昨年度から開始しており、今やっと効果が出始めたという実態です。これを乗り越えられれば、物作りがしっかりと安定できますので、プラスワンのサービスに投資して、成長させていくことが可能と考えています。

質疑応答:アライアンスの今後の予定について

坂本:先ほどの共同調達の話もあったのですが、次の質問は「アライアンスの今後の予定について」とのことです。イメージではいろいろなアライアンスがあると思います。部品調達もあると思いますし、御社は2社が一緒になった過程もあるため、またさらにということもあるかもしれませんが、そのあたりを含めて、現状と展望があれば教えていただければと思います。

丸井:我々の強みは、電話の事業とネットワークセキュリティ系と映像系です。このようなことを組み合わせ、我々とシナジー効果が生まれる部分のアライアンスやM&Aを強化していくことで、我々の特徴を活かした成長ができることをターゲットに、いろいろなものを探しています。

組み合わせを模索しながら、昨年度は17件くらい案件のご紹介をいただきまして、今絞り込んでいますが、進めていく中で達成していきたいと考えています。今後継続的に取り組んでいくことですので、しっかり実績を積んでいきたいと考えています。

質疑応答:ROEについて

坂本:「ROEについてどのくらいまで高めていきたいと思っていますか?」という質問です。

丸井:最低5パーセントで、基本は8パーセントにしたいと思っています。

坂本:平均値ですね。

丸井:平均値をまずクリアしていきたいです。

坂本:メーカーなので、御社はそのあたりのコントロールができそうだと思うのですが、そのあたりはいかがですか?

丸井:そのようなことを意識しながら、財務レバレッジを効かせ、投資をどこにするかなど強弱をつけながら事業の見直しを含めて取り組んでいきたいと考えています。

質疑応答:PERの目標について

坂本:先ほどはROEでしたが、反対にPERの目標という質問が来ています。あまりイメージがないと思うのですが、「ベンチマーク企業の根拠も教えてください」という質問です。PERはどれくらいが妥当ですかという質問はなかなか難しく、私もあまり自分ではしない質問ですが、どうでしょうか? イメージがあったらお願いします。

丸井:もともとは、「通信機器メーカーから情報・通信サービス企業に変革したい」ということで、この情報・通信サービス事業会社のPERについて、類似企業15社をベンチマークしました。結果、平均値がPER約24倍となりましたので、それをベースにすると、我々としてはまずPER20倍を目標に活動したいと考えています。

坂本:なかなか、メーカーでは難しいイメージがあると思います。ただ、売上利益が伸びる目標があれば、そこは達成するかもしれないと思いますが、株主還元の部分でしょうか。

丸井:そうですね。

質疑応答:「cocoem.」について

飯村:「成長事業の中で『cocoem.』がとてもおもしろいと思ったのですが、この手のものはテレワークが増えて、引き合いや注目が増えたところでしょうか?」という質問をいただいています。

丸井:もともとテレワークだけではなくて、離職防止が目的でした。例えば、コールセンターのオペレーターは、お客さまの対応が嫌で精神的に疲弊している、あるいは社内で働いている人が上司とコミュニケーションを取れないということで、離職防止を進めたかったのです。優秀な人たちが辞めることを防止することで、生産性向上にもつなげられます。

そのようなところを考えた時に、何か特殊なデバイスを付けたシャツを着るなどはあったのですが、それでは意識しないとデータが取れないため、通常の業務の中において、データが取りたいということで考え出したのがパソコンのマウスです。マウスで自然にデータが取れることによって、個人差が出てきますので、そのデータの傾向から、「この人は常日頃はこうだが、何かおかしい」という予兆が出てきた際に、「そろそろやばいよ」と声をかけてあげることができます。

飯村:基本的に、普段から心拍数が少し速い人がいるわけですよね。

坂本:「ドキドキし過ぎているのではないか」や、「寝ていて動いていないのではないか」という場面もありますよね。

丸井:日々のデータとしている中から特徴が見えてきますので、予測もアドバイスもしやすくなり、効果が出せるということで、このようなサービスを展開しています。さらに、テレワークになったことによってこのようなサービスのニーズが増えています。

飯村:テレワークは孤独ですからね。

丸井氏からのご挨拶

飯村:では、そろそろお時間になるのですが、今見ている方にメッセージなどありましたら、最後にお願いします。

丸井:いろいろな取り組みを今後行っていきますし、事業成長を目指している企業ですので、ぜひ明日を咲かせるサクサを覚えていただいて、ぜひTwitterアカウント(@ir_saxa)などにコメントをいただければと思いますので、よろしくお願いします。

当日寄せられたその他の質問と回答

当日寄せられた質問について、後日回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:製造は主に中国でしょうか? 円安や中国ロシアリスクを踏まえて国産化は考えていないのでしょうか?

回答:弊社は自社で米沢に工場を持っているため、製造は主に国内となっております。しかし、部品調達に関しては海外となりますので、円安による調達価格の高騰やロシア問題等によるリスクに注視する必要があります。

<質問2>

質問:新市場区分の上場維持基準の適合で流通株式時価総額が大きく不足し、2025年までに流通株式時価総額215億円を目指すとあります。大きな目標ですが、その対処方法について教えてください。

回答:収益の基盤であるビジネスホンの収益を維持させつつ、成長が見込めるビジュアルソリューション、ITビジネス分野の収益を拡大していくことで、事業セクターを情報通信サービス企業へと変化させ、市場から期待される企業へと変えていきます。

情報通信サービス企業と市場に認められた際には、収益と共に事業規模が拡大しており、目指す姿へ近づいていると考えております。

<質問3>

質問:最近では音声通話を発する、すなわち架電することを躊躇します。相手側に迷惑にならないか心配です。効率よい音声通話について、御社から提案はありますか?

回答:そのようなお困りごとを解決することが、弊社のソリューション提案になります。音声通信は便利である反面、相手の都合を意識しにくい問題があります。

弊社のビジネスホンでは、いつでもどこでも電話が出来るシステムを構築できるため、受信者の都合に合わせ対応することが可能となり、場所、時間を特定せず柔軟に対応することが可能となります。

※「当日寄せられたその他の質問と回答」は、企業ご提供の内容となります。 ※当説明会でお話しした市場データに関しては、すべてサクサホールディングス調べによるものです。

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