株式投資にリスクはつきもの。では、どう向き合えばよいのか?

すがすがしい春の陽気とは裏腹に、日本の株式市場は今一つ冴えません。その理由は様々ですが、特に目立つのは政治リスクや地政学リスクなど経済以外の要因です。

とはいえ、株式投資には常にリスクや不透明感が伴うものです。逆にそれがない状態、つまり市場参加者すべてが強気になるような“ユーフォリア”の状態のほうがむしろまれです。また、そうした時には関心が払われなかったリスクが、その後に顕在化し、手痛い思いをすることがあります。

長期的に資産形成を目指す個人投資家が最も避けるべきことは、「世の中が明るく楽観的になった時に買い増しし、世の中が暗く悲観的になった時に売ること」です。これでは「ピークで買い、ボトムで売る」ことになってしまうからです。

ただし、頭ではわかっていても、実際にボトムを見極め、そこで買うことはなかなか容易なことではありません。そうした悩みをお持ちの方は、この記事で紹介されている以下の方法を検討することも一案です。

現在がボトムであるか否かはわかりませんが、少なくとも“ユーフォリア”の状態ではないと思われますので、こうした手法を検討するには良いタイミングかもしれません。

  • 定時定額方式:たとえば、毎月1万円など一定額を継続的に投資する方法。
  • 一定額を投資し、リバランスする方式:たとえば100万円を投資し、投資額が一定になるようにリバランスする方式。株が大きく下がった時だけ買い増しし、株が大きく上がった時には一部売却を考える。

出所:北朝鮮をめぐる思惑 リスクとの向き合い方(楽天証券)

日本株には割安感が

メディアでは連日のように北朝鮮情勢に関する報道が続いており、「Xデーはいつ訪れるのか」がどうしても気になってしまう方もいらっしゃると思います。

とはいえ、こればかりは軍事の専門家でも予測は困難です。長期的に資産形成を目指すのであれば、そのことばかりに気を取られるのではなく、株式市場がこうしたリスクをどこまで織り込んできたかを考察することに、より時間を振り向けるべきではないかと考えます。

ちなみに以下の記事では、日本株の予想PER(株価収益率)は13.4倍まで低下し、歴史的に見ても割安圏にあることや、テクニカル面でも「売られ過ぎ」のサインが現れていることが指摘されています。

無理をしてリスクを取ることはおすすめしませんが、現在の日本の株式市場はかなり悪材料を織り込んできた水準にあり、割安感からいつ買い戻しが入ってもおかしくはない状態にあることは頭の片隅に入れておいてください。

出所:Xデーへの恐怖心と割安感の綱引き(楽天証券)

世界経済は堅調、IMFが経済見通しを上方修正

現在の日本の株式市場では、朝鮮半島有事に対する警戒感が上値を抑える要因となっています。しかし、世界全体の景気は、それほど悪いものではないことにも留意したいと思います。

そのことは、IMFが最近発表した世界経済成長見通し(WEO)からも読み取ることができます。

今回の発表でIMFは、2017年の世界の成長率予想を3.5%とし、3カ月前の1月時点見通し(3.4%)から0.1%上方修正しています。IMFはその背景として、金融市場の安定化や設備投資の増加による製造業の回復、活発な貿易の回復などを指摘しています。地域別では、米国と新興国は据え置き、日本やユーロ圏は上方修正されています。

一方、懸念要因としては、保護主義の台頭や財政政策が指摘されていますが、意外なことにそこでは東アジアにおける地政学的リスクは言及されていません。

もちろん、東アジアの地政学的リスクが今後も世界経済に影響を与えないということではありませんが、少なくとも地球儀を俯瞰して世界を見渡すと、悪くなっているというよりも、むしろ堅調に推移している地域のほうが多いという現実に改めて気づかされます。

以下の記事を読んで、地政学的リスクばかりに気を取られてしまい、世界経済が堅調であるのを見落としてしまうことがないようにしたいと思います。

出所:IMF、慎重ながら経済成長見通しを引き上げる(ピクテ投信投資顧問)

LIMO編集部