2. 老後に必要な貯蓄額はいくらか
皆さんは以前話題となった「老後2000万円問題」を覚えているでしょうか。
この問題をベースに、老後の生活費が実際いくら必要なのか、考えてみます。
2.1 【高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)】の収入と支出
金融審議会「市場ワーキンググループ」(第21回)厚生労働省提出資料より、日本の高齢夫婦無職世帯の収入と支出は以下のようになります。
- 実収入(主に年金):20万9198円
- 実支出(主に食費):26万3718円
- 月々の赤字額=約5万5000円
老後必要額=5万5000円×12ヵ月×30年(老後30年と仮定)=1980万円 ※約2000万円
上記こそ、政府が「老後は2000万円必要」と想定した根拠となります。
しかし、これはあくまで大数から導き出した数字をベースとしたシミュレーションに過ぎません。
そのため、このシミュレーションでは、以下の要素が漏れています。
- 介護費用が考慮されていない
- 住居費は一律固定で計算されている
- 収入と支出は当然、個々人によってバラつきがある
この高齢化社会、生活費には介護費用も加味した方がいいかもしれません。
また、賃貸の生活を想定している人は、当然家賃も加える必要があります。
加えて重要なのは、上記のシミュレーションは「必要最低限の老後生活費」を計算するためのものです。
より余裕のある生活を希望する場合、2000万円以上必要となる可能性は大いにあります。
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォームに入社し、現在はメディア事業部・メディアグロース企画推進室マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
新潟県立新津高等学校を経て、2013年に慶応義塾大学商学部を卒業。学部では、岡本大輔研究会にて企業評価論、計量経営学を専攻していた。
最終更新日:2023/11/03