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新興国のみならず世界経済の動向を占ううえで中国の動向は重要です。その中国の1-3月期GDP(国内総生産)が公表されました。

そこでは、中国当局の2017年の成長目標である6.5%前後を上回る前年比6.9%と、堅調な景気回復が示されました。景気回復のリード役は建設などで構成されている固定資産投資などです。中国景気の底堅い推移が当面は想定されますが、成長要因を分析してみると、持続性に懸念も見られます。

中国1-3月期GDP:投資回復などを背景に前年同期比6.9%増と市場予想を上回る

中国国家統計局が2017年4月17日に発表した1-3月期のGDPは前年同期比6.9%で、市場予想(6.8%)、および2016年10-12月期の6.8%を上回りました。7-9月期の成長率は6.7%であったことから、中国のGDP成長率は2四半期連続で加速しました。

どこに注目すべきか:中国GDP、雄安新区、鉱工業生産、小売売上

中国の1-3月期GDPは、2017年の成長目標(6.5%前後)や事前の市場予想を上回りました。成長を下支えした項目を振り返ると、工業や建設などで構成される第2次産業が好調でした(第1次産業は主に農業など、第3次産業はサービス業)。

1-3月期GDPと同日に公表された中国の3月の鉱工業生産指数は前年比で7.6%と前回の6.0%から急上昇し、第2次産業の好調さを裏付けています。

成長を下支えした他の要因は、固定資産投資の高水準での推移です。固定資産投資が高水準で推移している背景には、鉄道などインフラ投資が支えていた時期が見られます。加えて、この1年ほどは不動産投資の伸びも固定資産投資の下支え要因となっていると見られます。

中国経済の目先の見通しとして、固定資産投資は当面比較的高水準での推移が継続することも期待されます。また、鉱工業生産については、4-6月期を見渡しても中国の輸出に回復が期待されることから、好調な製品製造が続く見込みで、鉱工業生産は勢いを維持することも期待されます。

また、中長期的な下支え要因を見渡すと、不動産投資では、4月に河北省雄安新区の設立が発表されたことで、同地域の不動産市場にブームが起きています。中国では新区は過去多く公表されていますが、注目度が低いままであるケースが多く見られました。

しかし、習近平政権の思い入れが強いと見られる雄安新区への期待は高く、また規模の大きさなどから中長期的な中国経済の成長要因とも考えられます。

このように、2017年の中国経済は幸先のいいスタートとなりました。ただし、当面の回復は見込めるものの、持続性には気懸かりな点も見られます。

たとえば、鉱工業生産は3月に急回復しましたが、基本的に投資から小売への構造改革を推進する必要があると見られる中国では、今回のような急回復の持続性には疑問も残ります。また、中国の今後の成長のコアとなるべき個人消費(小売売上高で代替)は3月単月を見れば健闘したとも言えますが、1-3月期で均すと回復に鈍さも見られます。

中国では自動車販売を支えてきた小型自動車購入に伴う減税が2016年末で半額となる(本来は16年末終了であったものが半額として1年延期)など、小売売上高に悪影響を与える可能性のある要因もあるだけに注意は必要です。

なお、中長期的な成長要因として雄安新区には期待感を持っています。ただ、唐突に公表された感もあり、プロジェクトの内容は多くが不確定と見られます。しかし、市場では不動産取得が早くも過熱するなど、あまりに期待が先行しすぎている点は気懸かりです。

中国の1-3月期GDPは、2017年の成長目標越えをも期待させる数字でした。ただ、持続性の点でやや気懸かりな点もあり、2017年後半に若干のスピード調整の可能性も考えられます。

ご参考までに、4月18日に国際通貨基金(IMF)が公表した世界経済見通しで中国の2017、18年の成長予想を見ると、各々6.6%、6.2%を見込んでいます。IMFも中国の経済成長については年後半、もしくは来年のスピード調整を見込んでいるようです。

ピクテ投信投資顧問株式会社 梅澤 利文