4. 法律改正で60歳以降に働いても年金が減額されにくく
最近では定年延長や再雇用の動きも見られ、60歳以降も働く方が増えました。60歳以降に働くと、もらえる年金が減ると聞いた方がいるかもしれません。
在職老齢年金制度といって、65歳未満の方が一定額以上の給与と年金を受け取る場合、年金の全部や一部が支給停止になるのです。
ただし2022年4月に制度が改正され、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が「47万円」を超えない場合は、年金額の支給停止は行われないこととなりました。
もし47万円を超えた場合は、「(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×1/2×12」が支給停止となります。
仮に年金の基本月額が15万円、総報酬月額相当額が26万円だったとすると、合計で47万円を超えないため、全額は支給されます。
このように、シニアが働き続けやすいよう制度改正が繰り返されているのです。
5. おわりに
特別支給の老齢厚生年金についてみていきました。
年金は意外にも申請制です。扶養する家族がいるときにもらえる加給年金なども、請求しないと加算されません。
届いた書類には必ず目を通し、確実に申請するようにしましょう。
参考資料
太田 彩子
執筆者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年9月4日更新)