3. 不動産価格に影響を与える要因
本項では不動産価格に影響を与える複数の要因について紹介します。
3.1 金利の変動
不動産価格が一緒だったとしても、購入の際にローンを組むときの金利が違えば、総返済額が異なってきます。また固定金利で組むのか、変動金利で組むのか、固定金利期間選択型で組むのかによっても将来的に総返済額が変わってきます。
特に変動金利でローンを組む場合は、将来的な金利上昇のリスクも念頭に置いておく必要があるでしょう。
3.2 法律の改正
時には法律の改正が不動産価格に影響を与えることもあります。
例えば2021年に改正された住宅ローン控除もそのひとつです。
今まで住宅ローン控除率が住宅ローン年末残高の1%だったのが、0.7%になりました。
極端な話になりますが、仮に住宅ローン控除という制度自体が法律の改正によってなくなった場合、不動産購入を検討する人が少なくなることが考えられます。住宅購入を検討する人が少なくなれば需要と供給のバランスを考えると不動産価格は下落する可能性があります。
また、『生産緑地の2022年問題』という言葉を聞いたことはありませんか。
生産緑地とは過剰な都市開発を防ぐために市街地の一部に緑地を残すため1992年に制定された法律です。
生産緑地に指定されると30年間は営農以外できないという制限がある一方で、税金面の優遇があります。
2022年がちょうど30年の節目になるため、今まで生産緑地だった土地が宅地売却されたとき過剰供給になるのではないかという問題です。過剰供給になることで不動産価格が下落する可能性があります。
時には法律の改正が不動産価格に影響を与えることもあります。
3.3 都市開発
分かりやすい例だと鉄道周辺の都市開発ではないでしょうか。
新幹線の開通やほかの鉄道との乗り入れにより、都市部へのアクセスが容易になり利便性が高まります。地域の魅力が増し、駅周辺の開発も進みます。その結果として人口が増えることがあります。人口が増加すると供給量が減るため、不動産価格の上昇につながります。
3.4 人口の増減
一般的に人口が増加すれば物価は上昇します。不動産も例外ではなく、人口の増加に伴い不動産価格が上昇していきます。
以下のグラフは東京都の人口と不動産価格の推移を比較したものです。東京都では2010年から毎年人口の増加がみられ、それに伴い不動産価格指数も上昇傾向にあります。
しかし、昨今では新型コロナウィルスの影響もあり、テレワークやリモートワークがこれまで以上に一般化し、都市部から地方へ移住する方も増えています。
これにより東京都の人口は2020年をピークに減少傾向になっています。一般的には人口が減少すれば不動産価格も下降していきますが、現時点では不動産価格が下降している様子は見受けられません。
このまま人口の減少が続くと不動産価格も減少する可能性はあるといえるでしょう。ただし、人口の増減は不動産価格を決定づけるひとつの要素でしかないので、様々な観点から総合的に判断をするのが良いでしょう。
※不動産価格指数は2010年を基準(100.0)としています。