3. 「低年金・無年金」が起こる主な原因
年金を受給する条件として、もちろん年金保険料の納付があります。必要な保険料を納めていなければ、年金を受給する資格がないというものです。
さらに、保険料の納付状況とともに「受給資格期間」も重要になります。
国民年金(基礎年金)の場合、受給資格期間として「保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上あること」が必要になります。
ただし10年に満たない場合でも、合算対象期間を加えて10年以上にすることで、受給資格を満たすことはできます。
【合算対象期間】
「昭和61年(1986年)4月1日以降の期間」「昭和36年(1961年)4月1日から昭和61年3月31日までの期間」「昭和36年(1961年)3月31日以前の期間」それぞれにおいて、指定の条件に当てはまる場合。詳しくは日本年金機構のホームページでご確認ください。
保険料を納付したと思っていても、そもそも受給資格期間が10年に満たない場合、年金は受け取れません。これが無年金の状態です。
また受給資格期間を満たしていても、納付した保険料が少なければ年金も少なくなります。
何らかの事情で未納期間がある場合、その分が年金額より差し引かれてしまうのです。これが低年金の原因です。
4. 「低年金・無年金」は不整合問題が原因のことも
実は「低年金・無年金」になる原因として、「年金の不整合記録問題」が起こっているケースもあります。
4.1 不整合記録問題とは
これまで配偶者に扶養されていた専業主婦やパート主婦などが、下記のケースに当てはまったにも関わらず届け出が漏れていた問題を、年金の不整合記録問題といいます。
- 自営業になった
- 基準額以上の収入を得るようになった
- 配偶者が会社員(第2号被保険者)ではなくなった
国民年金の第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養される方があてはまります。しかし自営業やフリーランスになれば第1号被保険者に、会社等に勤めるようになれば第2号被保険者に変更となります。
この時に切り替えの手続きが必要ですが、ついうっかり漏れてしまうと、保険料が未納扱いになるのです。
4.2 不整合記録問題に気付いたときの救済措置
もし不整合記録問題に気付いたら、すぐに届け出を行いましょう。救済措置が用意されているので、届出をしていなかった期間を受給資格期間に繰り入れてもらうことができます。
ただし未納期間の保険料は納付済みにはならないので、年金額は減額されたままです。あくまでも受給資格が得られるための措置となる点に注意しましょう。
「低年金」を避けるための救済措置としては、「追納制度」があります。こちらは一定の期間に限り、厚生労働大臣の承認を受けたうえで行うことができます。
将来の年金受給額をあげたい場合は積極的に追納制度を利用しましょう。