日経平均株価は連日安値を更新。地政学リスクも高まる

2017年4月14日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より91円21銭安の18,335円63銭となりました。3月8日以来となる4日続落で、連日の安値更新です。

地政学的なリスクが高まっており、海外の投資家も積極的な売買を手控えています。米国は6日、シリアのアサド政権への軍事攻撃を行いました。さらに13日には、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討に向け、アフガニスタンに大型爆弾を投下しました。

13日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が大幅に下落し、終値は前日比138ドル61セント安の20,453ドル25セントと、およそ2か月ぶりの安値となりました(14日は聖金曜日の祝日で休場)。

米国が大規模爆弾を使用したのは、北朝鮮への威嚇と考えられます。これらに対して北朝鮮は「米国の挑発には屈しない」と強く反発しています。今後の動きはどうなるでしょうか。まずはその北朝鮮です。15日に故金日成主席の生誕記念日を迎えることから、これに合わせて6回目の核実験や弾道ミサイル発射などを行うのではないかと警戒されています。米国が軍事行動を起こせば、アジア全域での地政学リスクが一気に高まります。

また、気になるのは為替の動向です。トランプ大統領が13日「ドルが強すぎる」と発言し、円は一時、1ドル=108円台後半まで上昇しました。14日のニューヨーク外国為替市場では一時、ほぼ5か月ぶりの円高・ドル安水準となる108円55銭まで円が買われました。「有事の円」と呼ばれるように、リスクが高まると、今後さらに円買いがふくらむことになります。

来週はイベントも多く行われます。18日には麻生太郎副総理兼財務相とペンス米副大統領による日米経済対話が、23日にはフランス大統領選の第1回目の投票が行われます。極右政党でユーロ圏からの離脱を公言しているルペン氏が優勢だと伝えられており、その行方が注目されます。

下降トレンドが形成され、しばらく目線は下へ

今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。先週は、昨年末以来、3か月以上にわたり上下幅1,000円前後のレンジでもみ合っている状態だったレンジの下限である1月18日の安値(18,650円)を割り込みました。25日移動平均線と75日移動平均線のデッドクロスも形成されました。

今週は週初に5日移動平均線を上回るような動きもありましたが、勢いは強くなく、けっきょく、5日移動平均線で上値を抑えられました。レンジを下放れし、下降トレンドの形になっています。当面は、目線を下に持たざるを得ません。

個別の銘柄については押し目買いのチャンスも

今後の動きはどうなるでしょうか。先月末以来、何度も、5日移動平均線突破にトライしながら、上値を抑えられているのが特徴の一つです。強い下降の勢いがあります。

今週、レンジの下限である1月18日の安値(18,650円)で反発するような動きも見せましたが、再度割り込みました。懸念されるのは、この18,650円の下を見ると、トランプ氏の勝利が決まった11月9日の安値(16,111円)まで、大きな節がないことです。いわば視界が広い状態です。米朝の緊張感がさらに高まるようなことがあれば、このあたりまで一気に下落してしまう恐れもあります。

そこまでリスクが大きくならなくても、なかなか積極的に買いに回るのは難しいところです。じりじりと下がっていきながらも、目先の節目として意識されがちな17,500円、17,000円付近で反発し、新たなレンジが形成されることもありそうです。

ただ、オシレーター系の指標はいずれも「売られすぎ」を示しており、銘柄によっては割安感もあります。今月から、3月期決算の企業の決算発表が相次いで出てきます。個別の銘柄については押し目買いを狙っていきたいところです。

下原 一晃