株式市場では業種別(セクター別)株価指数動向を見ていくと、株式市場動向をさらに深く理解することができる。ここでは東証33業種に関して1週間(2017年4月7日から4月13日)の株価動向を振り返る。

業種別振り返り-外国為替市場に振り回される相場展開となった1週間

今週は、紙・パ株や不動産株など、5業種が上昇した。

外国為替市場において、円高・ドル安が進行したことを背景に、原料輸入コスト安のメリットを受けるとの思惑から、王子ホールディングス(3861)、大王製紙(3880)などの紙・パ株が上昇。

また、北朝鮮やシリア情勢の緊迫化に伴い、国内外の長期金利が低下したことから、有利子負債の大きい三井不動産(8801)、三菱地所(8802)などの不動産株も値を上げた。

一方、28業種が下落し、最も下落率が高かったのは、石油・石炭製品、鉱業、卸売業など。

米WTI原油先物価格は強含んだものの、マーケット全体にリスクオフの姿勢が強まり、国際石油開発帝石(1605)や、JXTGホールディングス(5020)などの資源・エネルギー関連株、および三菱商事(8058)、三井物産(8031)などの商社株(卸売業)は値を下げるものが目立った。

今後のマーケット見通しの注目点

今週も、軟調な相場展開によりディフェンシブ色の強いマーケットであった。特に、シリアに加え、北朝鮮情勢の地政学的リスクも高まり、市況関連株に売りが目立つ相場展開となった。

また、トランプ米大統領が「ドルは強くなり過ぎている」と発言したことから、ドル・円は一時1ドル=108円台後半まで円高が進行したことも、東京株式市場の重しとなった。

今後も、引き続き調整色の強い個別銘柄を物色する相場展開となりそうだ。

出所:SPEEDAおよび東証で取得したデータをもとに筆者作成

岡野 辰太郎