個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)は節税メリットが大きく、そのお得感から注目を集めていますが、興味があってもなかなか最初の一歩を踏み出せない方も多いようです。加入をためらう理由は何か、解決策はあるのか、考えてみたいと思います。
お悩みポイント1 手数料で損をする?
「手数料の安い金融機関を選ぼう!」―そういったアドバイスをあちこちで見るがゆえに「手数料がかかるならやらないほうがいいかなあ」と悩んでおられる方が多いようです。
確かにiDeCo 口座を開設すると①国民年金基金連合会に支払う手数料(年間1,236円)、②事務委託先金融機関手数料(年間768円)③金融機関の運営管理手数料、という3つの手数料がかかります。
このうち①と②はどの金融機関で口座を開設しても必要なので、年間2,004円はマストです。ここにiDeCo口座を開く金融機関に対して③の運営管理手数料を支払うわけですが、これが金融機関によって大きく異なるのです。もし金融機関に支払う月々の口座管理手数料が500円だとすれば、①②③をあわせた年間の手数料は8,004円。iDeCo口座の残高が10万円だった場合、手数料の比率は実に8%超です。
しかし、口座管理手数料が安い金融機関もあります。SBI証券や楽天証券は、iDeCo口座に一定以上の残高がある場合、運営管理手数料を無料にしています(注)。こうした金融機関をうまく活用することで、手数料の割合を小さくすることができます。手数料が①②だけなら、残高50万円のとき手数料の割合は0.4%、200万円になれば0.1%にまで抑えられます。
運用する商品の選び方もポイントです。元本確保型の定期預金だけで積み立てていくと、現在の利率では資産が増えても手数料を上回るだけのリターンを得るのは難しい状況です。投資信託と組み合わせて運用し、利回りを高めることで手数料の負担を軽減することも検討する必要があるでしょう。
編集部注:2017年5月から、SBI証券・楽天証券ともに残高などの条件に関わらず運営管理手数料が無料になりました。
楽天証券2017年5月18日付プレスリリース「楽天証券、iDeCo管理手数料無料化のお知らせ」
SBI証券2017年5月18日付プレスリリース「SBI証券、iDeCoの運営管理手数料の完全無料化のお知らせ」
お悩みポイント2 途中でやめられない、引き出せないのが心配
iDeCoは老後に向けた資産形成を行うための制度です。だからこそ税制優遇もされています。老後の資産形成が目的ですので、原則として60歳まで引き出すことはできません。
それだけに「60歳までの長い期間で何かあったらどうしよう、急にお金が必要になることもあるのでは」などと不安になって二の足を踏んでいる方も多いようです。
もちろん、60歳に至るまでにはさまざまなライフイベントがありますから、その人生設計に必要なお金まで拠出してしまって引き出せないとなれば大変です。ポイントは、あくまでも「老後のためのお金」と割り切って、無理のない範囲で積み立てていくことです。そうすれば、半ば強制力を持って60歳まで積立と運用ができるこの制度はメリットのほうが多いといえるでしょう。
お悩みポイント3 積立金額はいくらがベスト? 途中で苦しくなったら?
iDeCoでは、掛け金の前納、追納が認められていません。節税メリットを最大限に生かす、あるいは掛け金に対する手数料の割合を下げるという意味では、限度額いっぱいまで掛け金を拠出するのが最も効果的ですが、60歳まで引き出せないことやその間におけるライフステージの変化も考えれば、まずは無理のない金額に設定することが重要になってきます。
ただ、無理のない金額にしたつもりでも、それさえ厳しいという状況になったらどうしよう、と不安な人もいるかもしれません。もしどうしても難しくなれば、まず掛け金の金額変更ができます。掛け金の変更は、毎年4月から翌年3月の間で年1回可能です。
完全に掛金の積立をやめてしまい、運用のみを行うこともできます。ただし、それまでに積み立てた資産を引き出したいと思ったとしても、特別な事情に該当しない限りは認められないことになっています。
お悩みポイント4 運用商品の選び方がわからない
先にも述べた通り、定期預金だけで積み立てても、現在の利率では手数料を上回るだけのリターンを得るのは難しい状況です。商品選びの際には、投資信託も検討したいところではあります。ただ、投資信託が何なのかわからない、どういうものを選べばよいのか皆目見当もつかない、という投資初心者の方も多いようです。
もし投資初心者で投資信託選びに迷っているなら、まずは「信託報酬」が安い「インデックス型」の投資信託を選ぶとよいでしょう。
運用商品の選択は悩ましいですが、iDeCoでは配分変更(毎月の掛け金で購入する商品の比率を変更すること)やスイッチング(運用している商品を売却し他の商品に買い替えること)もできますので、まずは積立をはじめてしまうのも一手です。
まとめ
いかがでしたか?新しいことを始めるときに不安はつきものですが、悩んでいるうちに時間は過ぎていってしまいます。時間が大きな味方になってくれるのが積立です。まずは手数料が安い金融機関を選び、無理のない掛け金からスタートしてみてはいかがでしょうか。
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LIMO編集部