企業年金2. 確定給付企業年金とは
確定給付企業年金とは、事業主と従業員が同意を得て、制度の内容を規約に定めて実施し、将来の給付額については、加入した期間などに基づいてあらかじめ定められている企業年金制度です。
従業員が高齢になった際に受け取ることができるよう、労使の自主的な努力を尊重するとともに、受給権の保護が強化されている点が特徴となっています。
この確定給付企業年金は、既存の厚生年金基金制度からの移行も可能となっています。代行部分を国に返上(代行返上)し、加算部分を移行する方法に加え、厚生年金基金制度の改正により、解散して事務所単位で移行することもできるようになりました。
確定給付企業年金は、「基金型」と「規約型」に分かれており、2022年5月1日時点の確定給付企業年金「基金型」は700、「規約型」は325となっています。
【企業年金】確定給付企業年金の設立形態とは
上で少し述べたとおり、確定給付企業年金には「基金型」と「規約型」があります。
「基金型」は母体企業とは別の法人格を持った企業年金基金を設立したうえで、その基金が年金資産を運用・管理し、年金給付を行います。
「規約型」は、事業主が労使合意のもとに年金規約を作成し、その規約に基づき年金資産を運用・管理し、給付を行う仕組みです。
【企業年金】確定給付企業年金の加入対象者とは?給付の内容もチェック
加入対象者は厚生年金適用事業所の厚生年金保険被保険者です。
掛金は事業主が年1回以上定期的に拠出しなければならないとされています。掛金は事業主負担が原則ですが、規約によって加入者本人が同意した場合は、掛金総額の2分の1を超えない範囲で加入者拠出を行うことができます。
給付については、老齢給付と脱退一時金は必ず設けられることになっており、障害給付金や遺族給付金については任意で定めることができます。
また、確定給付企業年金においては、2017年に「リスク分担型企業年金」が導入されたことに注意が必要です。これは、あらかじめ測定した将来発生するリスクの範囲を超える資産運用の悪化が生じた場合には、給付額の減額が行われるというものです。