富山市は移動手段が多いからこそ「歩きやすい」

富山市内の交通を概観した上での全体的な感想は以下のとおりです。

まず、路面電車やグリスロ、バスは路上から直に乗れるため、高齢者や子ども連れの人など、移動がしにくい人にとっても、楽に乗れるという点。

都心部では公共交通が発達しており、自家用車がなくても移動できるので、免許返納した高齢者でも代替交通手段があるじゃないかと言われることがありますが、「高齢になって足腰が弱ってきたから自家用車」という声を、実はよく聞きます。

足腰が弱ってくると、階段の上り下りや長い道のりの乗り換えなどは苦痛なのです。バスや路面電車といった、徒歩での移動に近い感覚のモビリティは、移動弱者に親和性が高いといえます。

また、多様な移動手段が充実することでかえって「歩く」という行動を誘発しているように見受けられました。いつでも乗り物に乗れる安心感が、一駅手前で降りたりちょっと寄り道をしたりという行動を誘発し、街の回遊性を高めている可能性があるのです。

特に路面電車は比較的短距離で停車駅があること、通常の電車とは異なり信号でも止まることなどから、移動中の景色を飛ばしません。手軽でユニバーサルな移動手段が多いことが、かえって「歩ける環境」を創出しているのは興味深いことです。