【年金】月額10万円を18万4000円にアップも可能。みんなが知らない上手な受け取り方繰下げ受給でどれだけ増額できるか検証

3. 年金の「繰下げ受給」デメリットを3つ確認

「長生きできるかわからない」ということ以外にも、繰下げ受給にはデメリットが存在します。

厚生労働省の「令和２年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、実際に繰下げ受給を選択した人はここ数年1％台しかいないようです。

制度が認知されず「みんなが知らない」と言われる繰下げ受給。しっかり理解できるようあえて「デメリット」をご紹介します。

前述しましたが、繰下げ受給を選択するには、長く働き続けるか不労所得を得る見込みがある必要があるのです。

無収入となり貯蓄を切り崩してしまっては、その間不安は募るばかりです。年金額を増やしても貯蓄が減るのであれば、あまり意味がありませんよね。

健康面や家族の介護などにより、働きたくても働けない可能性はゼロではないので、慎重に選択しましょう。

実は年金生活になっても所得税や住民税、健康保険料、介護保険料などがかかります。繰下げ受給で増額した結果、非課税ラインだった方が課税される額になった場合、負担感が増すでしょう。

額面が増えても手取りがあまり増えないこともゼロではありません。「思った以上に増えなかった」ということもありうるのです。

繰下げ受給を選択すると、加給年金が受け取れなくなります。

加給年金とは年金の扶養手当にあたるもので、条件を満たす配偶者や子どもがいる場合に上乗せされる年金のことです。

家族環境によって、加給年金で得られる金額も様々です。この辺りもしっかり検討して選択したほうが良いでしょう。

年金月額10万円を18万4000円にアップすることも可能な繰下げ受給。メリットはあるものの、「75歳まで働き続ける」にはさまざまな制約があります。

健康面はもとより、家族環境や就業環境などの制約で必ず希望通りにいくとは限らないでしょう。

老後の備えでは、年金受給額だけでなく「貯蓄」という視点も必要となります。

一般的には年金受給額だけで生活していくのは難しいとされています。「老後2000万円問題」も記憶に新しいと思いますが、老後も30年と言われる時代ですから計画的な準備は必要でしょう。

人によって準備しなければならない金額は様々ですから、自分から行動に移すことが重要です。