一時的調整なのか、それとも相場の転換点なのか

2017年に入ってから18,900~19,600円の狭いボックス圏で推移してきた日経平均は、ついに今週そのレンジを下方に突き抜けています。

この背景には、北朝鮮をめぐる地政学的リスク、米国の利上げペースの鈍化懸念、さらに以下の記事で指摘されているようなトランプ政策の実効性への疑問、フランスの大統領選挙、さらにはイギリスのEU離脱交渉への不透明感の高まりなど、多数の要因が考えらえます。

春には突然の嵐がつきものであるように、今回の調整が「上昇局面のなかの一時的な調整」であれば健全なものと捉えられ、過度な懸念が不要ということになります。一方で、季節に「変わり目」があるように、現在の調整は上昇相場から下落相場への転換点を示している可能性もあります。

では、このような不透明な局面ではどのように対処すべきかを次に考えてみたいと思います。

出所:注意報が出ています。(ピクテ投信投資顧問)

ディフェンシブ銘柄への退避も1つのアイデア

市場参加者に「気迷い」が生じていることは、4月5日の米国市場を見ても明らかです。

その日の午前中は、米雇用が市場予想を大きく上回ったことが好感されNYダウは上昇しました。しかし午後には、株式市場が加熱しすぎではないかと示唆する米金融当局者の発言を受けて、取引終盤に急速に値を下げています。

このように、好材料に対しては株価の動きが限定的で、悪材料に対しては敏感である時は、まずは無理をせずに嵐が過ぎ去るのを待つのが得策です。

また、以下の記事でも指摘されているように、「ディフェンシブ銘柄」に退避することも考えられます。ちなみに、ディフェンシブ銘柄とは、相対的に守りに強い傾向にある株式のことで、具体的には電力・ガス・水道などの公益事業や、食品・医薬品など生活に必要不可欠な業種を指します。

また、ディフェンシブ銘柄は景気動向の影響を受けにくいことや、配当利回りが相対的に高いことに特色があります。そうした銘柄は日本にも多く上場していますので、現在のように景気の方向感が定まらない局面では、ぜひ検討してみてください。

出所:トランプ政権混迷中の今、「ディフェンシブ」に注目(ピクテ投信投資顧問)

米国経済はデフレに逆戻りするのか

これまで述べてきたように、足元の日米の株価下落は複数の不透明要因によるものですが、シンプルに考えると、米国金利が上昇せず、円安にならないことの影響が特に日本株については大きいと感じられます。

ちなみに、足元ではトランプ政権が十分な政策実行力を発揮できず、減税や財政拡大が期待ほど実行されないという「トランプ・シュリンク」により、デフレに後戻りする懸念が高まっています。

とはいえ、以下の記事にあるように、中国のデフレ発信源としての機能が弱まることや、企業の合併・事業統合が進展していることなどから、米国経済はいずれインフレに向かう可能性が高いとも考えられます。

いずれにせよ、春の嵐に惑わされすぎずに、冷静に今後の経済の方向性を注視していきたいと思います。

出所:気になる「トランプ・シュリンク」。向う先はインフレか、反インフレか?(投信1)

LIMO編集部