「株価の弱さに耐えられない」として、永守重信氏が最高経営責任者(CEO)に復帰した日本電産(6594)。
投資家の中には、「これで株価は上がる!」と思う人、「本当に上がるのかな・・・」と不安に思う人、様々いらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、株式アナリストの筆者が日本電産について、「株価を占ううえで着目すべき業績・事業のポイント」を解説します。
※本文中の各グラフについてはグラフ一覧をご参照ください。
1. 日本電産の株価はどのように推移してきたのか
長期的に見ると、日本電産の株価は右肩上がりで推移してきました。
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2013年頃から騰勢を強め、2016年終盤には5000円台に到達。
2018年から2019年は7000~8000円のレンジでもみ合いましたが、2020年には急上昇。
2021年2月には1万5000円近い高値を付けました。
しかし、その後は一転して冴えない展開を見せました。
2021年終盤までは緩やかに右肩下がりで推移し、2022年に入ってからは下落の一途を辿っています。
この推移について、永守氏は決算説明会で「株価チャートに石をぶつけたくなる」とも話していました。
永守氏はもちろん投資家も株価動向について関心は強いと思いますが、今後は何に着目すればよいのでしょうか。
2. 日本電産の業績はどのように推移してきたのか
株価が上昇するには利益の伸びが重要ですが、ここで、日本電産の業績を振り返ります。
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出所:日本電産株式会社 連結業績ハイライト
日本電産の売上は、2018年3月期から2020年3月期まで1兆5000億円前後で推移し、その後伸びが強まり、2022年3月期には1兆9000億円台に乗せました。
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出所:日本電産株式会社 連結業績ハイライト
しかし、営業利益について見てみると、2018年3月期から減少傾向にあり、2021年3月期に一度大きく盛り返したものの、2022年3月期には回復のペースが鈍りました。
営業利益率については、基本的に営業利益と同じような推移を見せているものの、2022年3月期に関しては営業増益ながらも利益率は低下し、採算の改善で課題感が見て取れます。
今後の株価上昇には、売上や利益の伸びはもちろん、利益率の改善も大きなポイントとなるのではないでしょうか。
3. 日本電産の今後の事業のポイントとは
「今後の株価推移を考えるには、売上・営業利益・営業利益率の動向に注目だ」というと浅いので、もう少し鮮明・立体的にイメージできるよう、セグメントレベルまで掘り下げてみます。
3.1 直近のセグメント別の動向と今後の全体観
まず、日本電産の2022年3月期の業績の前年比増減分析を見てみましょう。
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出所:日本電産株式会社「2022年3月期決算説明会資料」
売上は家電・商業・産業用セグメントが大きく貢献しました。
営業利益については、家電・商業・産業用セグメントと機器装置セグメントが貢献し、一方で精密小型モータセグメントの減益が重しとなりました。
簡単にまとめると、家電・商業・産業用セグメントと機器装置セグメントが良く、精密小型モータセグメントが悪かったということになります。
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出所:日本電産株式会社「2022年3月期決算説明会資料」
こうした状況下、日本電産は新中期戦略目標の骨子「事業ポートフォリオマネジメント」の中で、「車載セグメントと家電・商業・産業用セグメントを大幅に伸ばし、精密小型モータセグメントもそれなりに伸ばす」という方針を掲げています。
以下、日本電産が特に注力する車載セグメントと家電・商業・産業用セグメントの成長戦略と注目点を解説します。
3.2 車載セグメントの成長戦略
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出所:日本電産株式会社「2022年3月期決算説明会資料」
日本電車は車載セグメントについて、以下を今後のポイントとして挙げています。
- 欧州の環境規制を追い風とした、EVトラクション関連の売上増
- 中国での、EVトラクション関連の大口顧客増
- 車載モータ関連の、市場の回復
- 車載モータ関連の、原価率の改善
欧州や中国での業績動向や、原価率の改善が今後の注目点ということになります。
3.3 家電・商業・産業用セグメントの成長戦略
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出所:日本電産株式会社「2022年3月期決算説明会資料」
日本電車は家電・商業・産業用セグメントについて、以下を今後のポイントとして挙げています。
- 欧州域外での市場シェア増
- インドなどのアジア市場の拡大
- 原価率の改善
欧州域外やアジア市場での事業動向と、原価率の改善が今後の注目点ということになります。
4. まとめにかえて
今回は日本電産の今後の株価を占ううえでのポイントを、セグメントレベルまで分解して紹介してきました。
営業利益率の低下が課題視されるだけに、注力セグメントにおいて原価率低減の方針が強く打ち出されていました。
今後も注目です。
参考資料
石津 大希
