【不動産投資のリスク】頭金ゼロだと「オーバーローン」に陥りやすい

さらに、頭金ゼロやそれに近い形で投資物件を購入すると「売りたくても売れない状態」に陥りやすくなります。

たとえば、先述したような理由で出費が増えたり、収入が減ったとき。収支状況の悪化直後に手放すことができれば、マイナスは最小限で済むものです。

しかし、ローン残債が売値を上回る「オーバーローン」の状態であれば、自己資金を充当しない限り売却はできません。頭金ゼロ、フルローンで不動産を購入するとなるとなると、この「オーバーローン」状態になりやすいのです。

ここで、2000万円の新築投資物件を金利2.5%、借り入れ期間が30年という条件でフルローンを組んで購入したケースを想定してみましょう。

3年後のローン残高は、およそ「1860万円」です。もしこのとき、何らかの理由で手放さなければならなくなったとすれば「1860万円以上」で売れるかということが問題になるわけですね。

資産価値の低下率は物件によるものですが、たとえば新築物件は新築から中古になっただけで2割ほどの価値低下が見られるともいわれています。

ということは、所有直後に売却したとしても1600万円程度の価値にしかなりません。3年後にはさらに安い金額でしか売れなくなっていることも想定されるため「オーバーローン」になりやすいということです。

ただ一方で、このケースにおいても、取得から20年後にはローン残債も800万円代にまで減ります。

ローンというのは、基本的に借り入れ当初は元金の目減りが少なく、返済が続くにつれて元金が減っていくスピードも早くなるもの。ですから、長期にわたって安定的に所有・運用ができるのであれば、頭金ゼロであっても手放すときにオーバーローンになりにくいのです。