3. 「不妊治療が保険適用」気をつけたい注意点

一見、不妊治療が保険適用になるのは大きなメリットに思えます。しかし今回の保険適用では、注意したいポイントが2つあります。

3.1 助成金廃止で自己負担が増えるケースがある

これまでは体外受精や顕微授精などの特定不妊治療と呼ばれる治療に対し、最大30万円を支給する助成金制度がありました。

助成金制度は保険適用開始と同時に廃止されるため、治療費によっては保険適用後の自己負担が上回ることもあるのです。

ただし経過措置として、年度をまたぐ1回の治療については助成金が支払われます。

3.2 保険適用されるのはガイドラインで推奨される治療のみ

すべての不妊治療に保険が適用されるわけではありません。一般社団法人日本生殖医学会のガイドラインにて実施を推奨しているもののみが対象です。

出所:厚生労働省「先進医療における不妊治療の対応について」

保険適用となるのは、ガイドラインの推奨度A・B・Cのうち、AとBに該当する治療です。推奨度Cの治療(タイムラプスなど)を実施する場合は、全額自己負担となるので注意が必要です。

流産などのリスク回避に効果のある着床前診断も、今回の制度では保険適用の対象外となりました。

このように対象外の治療がある点については、今後の課題とされています。さらに先進医療として申請される動きもあるため、そちらを経て保険適用となる可能性もあります。