2. JTやオリックスなどが株主優待を廃止する根本的な背景:東証の市場改革
株式優待の廃止が続くきっかけは、東京証券取引所が実施した市場改革である可能性があります。
東証の市場改革では、市場の名前が変更となったほか、上場に関する様々なルールが変更となりました。
以下、東証1部市場とプライム市場について、変更点の一部(流動性)をご紹介します。
まず、投資の世界で「流動性」というと、1日当たりの売買代金や発行済み株式総数に占める浮動株割合など様々な意味合いで使われますが、平たくいえば「市場で株が盛んに売買されている度合い」となります。
東証は上場基準における流動性について、「株主数」「流通株式時価総額※」「時価総額」という3つの尺度を設けており、市場改革ではここの一部にメスが入れられました。
※流通株式とは、保有が固定的でほとんど流通可能性が認められない分を除いた株式。
具体的には、以下のようになります。
- 株主数:2200人以上(旧)→800人以上(新)
- 流通株式時価総額:10億円以上→100億円以上
- 時価総額:250億円以上(変更なし)
株主数の最低ラインは2200人から800人と、6割減。
一方、流通株式時価総額の最低ラインは10億円から100億円へと、10倍に。
数字の変化を見るに、市場改革はかなり抜本的な見直しだったことがわかります。
では、この改革がなぜ「優待の廃止」のきっかけとなるのでしょうか。