3. 「老後2000万円問題」ほんとうの内容とは
気になる「老後2000万円問題」について、どのように算出されたのかを確認してみます。
この試算は「夫65歳で妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯」をモデルケースとして算出されました。
月の収入が20万9189円で、支出の26万3718円を差し引いた金額が5万4529円。
5万4529円の赤字が30年間続くと仮定してマイナス2000万円という結果になっています。
ここで注意したいのが、この2000万円という数字には介護費用や旅行や習い事などが含まれておらず、あくまで一般的な生活費のマイナスだという点です。
一般的な生活を送った場合の赤字額ですから、趣味やおうちのリフォーム代、バリアフリー化などを考えると2000万円以上の出費が予測できます。
また、前段でも触れましたが住居の形態などでも支出はかさむため余裕を持った準備が必要でしょう。
4. 【年代別】セカンドライフにむけてできること
ここまでセカンドライフを迎えた方の家計や資産の平均値を確認してきました。
一般的な世帯では収入よりも支出が多くなる可能性が高く、一つの指標となる「2000万円」を持っていたとしても、住居形態や介護などを考えると足りない可能性が高いです。
安心してセカンドライフを送るには、リタイアまでにどれだけの資産を準備出来るかが重要です。
世代によって対策は変わりますが、20~40代の世代では時間を活用してコツコツと積み立てを行うことがおすすめです。預貯金だけではなく、iDeCoやつみたてNISAなど資産運用に目を向けても良いでしょう。
退職までの期間が短い50〜60代の場合、コツコツと積立てをしても大きな資産をつくるのは難しいかもしれません。とはいえ、家計の見直しから貯蓄可能額を増やすことや、資産運用を取り入れるなどできることもあります。
リタイア後の生活を見据えて、生活や家計を見直すして支出を減らす工夫をするのも良いでしょう。
資産運用にはリスクは伴うので、きちんとリスクについて確認し、まずは自分にとってどのような方法が良いのか現状把握を行うことが重要です。
どの世代にとっても長い老後が待ち受けています。しっかりと準備をして、安心してセカンドライフを送りたいですね。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)家計の概要」
- 日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
- 総務省統計局総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」「Ⅲ世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況」
- 金融審議会「市場ワーキンググループ」(第21回)厚生労働省提出資料
徳原 龍裕