3. 公務員が必要な「将来資金の準備」

では公務員の場合、老後の備えは必要ないのでしょうか。実はそうとも言い切れません。

公務員は、以前は「共済年金」という3階建ての手厚い年金制度に加入していました。一般の会社員と比べて退職金も年金も優遇されていたのです。

しかし共済年金は厚生年金に統合され、これにより3階部分は廃止されました。

独自に3階部分の年金を備える人もいますが、掛け金は追加で必要です。「老後は安泰」という時代は終わってしまったのです。

公務員でも年金だけでは月の収支がマイナスになる可能性があり、退職金を切り崩す生活になるかもしれません。

さらに「今の現役世代が定年を迎える頃、同じ水準の退職金がもらえるかわからない」という問題もあります。

公務員の給与水準は民間水準に合わせて定期的に改定されています。「公務員はコロナの影響を受けなくてうらやましい」という声もありますが、実際には民間の水準が下がれば数年後に調整されるのです。

つまり、公務員であっても「未来永劫安定している」というわけではないのです。終身雇用という点では会社員よりも安定していますが、給与事情はイメージより厳しいものがあるのですね。

また、公務員でも転職してキャリアアップを目指す方はいます。勤務先が変われば退職金事情も変わるため、将来の対策は万全にしておく方が安心でしょう。

会社員であっても公務員であっても、「将来資金の備え」は等しく必要になるのです。

4. おわりに

地域や職種ごとに、地方公務員の退職金の平均支給額についてみていきました。ほとんどの分類で2000万円を超えていた退職金事情。しかしひとことに「公務員」といっても、その給与事情はさまざまでしたね。

平均を知るのも大切ですが、ここから老後の資金を考えるヒントを得ることも重要です。安定しているイメージのある公務員でも「年金と退職金で安泰」とは言えない現代の日本。

誰でも老後の備えが必要となるでしょう。残りのGWを有効に使い、効率的な貯蓄方法やマネープランについて、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

太田 彩子