現在、株式や投資信託などといった投資商品で得た利益については、その額にかかわらず一律20.315%の税金がかかります。しかし、この制度が今後見直されようとしており、それに伴って新たな所得の壁が発生する可能性があります。
今回は金融所得課税について見直しが検討されている内容を紹介するとともに、今後発生するかもしれない新たな所得の壁についても解説します。
金融所得課税の引き上げとは?
2021年10月4日、岸田首相は現在一律となっている金融所得課税について、その税率を見直し検討する意向を表明しました。具体的には、現在一律20%となっている税率を引き上げ、低所得者層などの支援制度に充当させようというものです。
上場株式等の配当所得等に係る課税方式
上場株式等の配当や、値上がり益などで得た利益については20%(復興特別所得税0.315%を除く)が所得税および住民税において課税されることになっており、その課税方式は納税義務者が選択できるようになっています。
課税方式には「申告不要方式」「総合課税方式」そして「申告分離課税方式」の3つが用意されています。
申告不要方式を選択すると、確定申告を行うことなく源泉徴収により納税が終了することから、多く人がこの方式を選択しています。
確定申告することを選択する場合は「総合課税方式」そして「申告分離課税方式」のどちらかを選択する必要がありますが、利子所得については総合課税方式を選択できない点に注意が必要です。
総合課税方式を選択した場合、所得税と同様に累進税率が適用されますが、配当控除を受けることができます。ただし、株式の譲渡損失との損益通算はできません。
申告分離課税方式を選択した場合、適用される税率は20%(復興特別所得税0.315%を除く)となり、総合課税では受けられる配当控除の適用はないものの、他の株式の譲渡損失との損益通算が可能です。
自身のその年の運用状況により、複数の証券口座を保有している場合は分離課税を選択して損益通算を行うことができますし、損益通算してもなお損失が残っている場合は翌年以後3年間繰り越すことができます。
また、配当金を受け取り、配当控除を受けるために総合課税を選択して申告する考えもあります。