2. 国民年金を未納にした人の悲しい末路

国民年金を未納にしやすいケースとして、「会社員」として働いていた人が「独立」する場面があります。

Aさん(40代)はこれまで会社員として働いてきましたが、独立してフリーランスとなりました。家族は専業主婦の妻と2人の子どもです。

事業に関する資金は集めたつもりでしたが、保険や年金、税金の通知書を見たときに衝撃を受けました。

特に国民健康保険に関しては、これまで扶養に入れていた家族3人分もかかるため数万円の増額です。

退職したばかりでまだ事業が軌道に乗るまでは「できれば現金を減らしたくない」と思ってしまいました。

ただし税金は滞納が怖く、健康保険も子どもの通院があったので優先順位を高く感じ、国民年金のみを未納にしてしまったのです。

妻と合わせると毎月3万円以上の保険料となるため、ある程度事業がうまくいけばあとで追納しようと考えたAさん。

「どうせ将来もらえる年金は少ないのだから、自分で貯めた方がマシ」という考えもありました。

しかし、未納を続けるほどにその金額はあっという間に膨らんでしまいました。督促状が届くことを知らなかったAさんは、徐々に滞納している事実を怖く感じ、電話等も応じなくなるように。

やがて「差押予告通知」が届き、口座が凍結されてしまいました。日常生活に影響が出たAさんは、そこでようやく親戚に頼ることでお金を借り、口座凍結を解除できたのです。

少しずつ保険料を追納していたAさんですが、ある事故で怪我をしてしまいました。幸い怪我は大したことなかったのですが、一歩間違えると歩行もできないほど重大な障害を負う怪我だったのです。

もしそうなった場合、国民年金保険料をしっかり払っていれば「障害年金」が受給できることを知りました。年金の保障機能を利用するためにも、今後はしっかり保険料の支払いを続けていくことを決心しました。