忘れてはいけない「国民年金受給者」
ここまでの内容で、厚生年金を10万円受給する女性の割合がわかりました。
- 10万円台を受給:14.3%
- 10万円未満を受給:48.9%
しかし忘れてはいけないのが、こちらの数字は「厚生年金受給者」に限定したものであるということです。
女性の中には厚生年金に加入せず、専業主婦や自営業として「国民年金」のみに加入した方が一定数います。
同じく厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金を受給する女性は1882万7601人です(2020年末現在)。
国民年金の女性平均は5万4112円なので、国民年金だけではとても10万円に届きません。
つまり、「厚生年金受給者」に限れば10万円受給できる女性が14.3%となりますが、「全女性」に範囲を広げるともっと少なくなるということです。
反対に「月10万円未満」の年金受給者は、国民年金のみの方も含めるともっと多くなるでしょう。
また今回ご紹介した年金は「老齢年金」です。年金は他にも「遺族年金」や「障害年金」等があり、原則は1人1年金となることから、これらの受給者は含まれないことになります。
こう考えると、「年金を10万円受け取る女性が14.3%」というのは誤解であることになります。
女性が考えておきたい「将来のお金」
女性は男性よりも平均寿命が長いことから、老後の対策が必要になる場面も多いです。しかし現状では、男性よりも年金受給額が低くなっています。
将来を考える上では平均値を参考にすることも大切ですが、注意したいことが3つあります。
- 受け取る年金(国民年金か厚生年金か)によって水準が異なる
- 今の年金水準がこのまま続く保証はない
- 今後の働き方によって変わる可能性もある
まずは年金制度を正しく理解することが大切に。国民年金と厚生年金では平均額でも大きな差があるので、これまでの加入実績をしっかり確認しましょう。また今後の働き方や社会情勢によって、受給目安額は変化します。
目安額はねんきんネットなどでも確認できますが、一度見て終わりにするのではなく、定期的に確認するようにしましょう。
今回の資料が将来のマネープランを考えるきっかけになれば幸いです。
参考資料
太田 彩子