個人は日本株現物の売り越しを続ける
日本株現物の需給がなかなか改善しません。
日本取引所グループが発表した2017年3月10日までの投資部門別株式売買状況によれば、個人は3週連続売り越し、海外投資家は4週連続売り越し、投資信託は13週連続売り越し、信託銀行は6週連続売り越しとなっていて、日本銀行の買い越しばかりが目立つ展開に変わりありません。
ちなみに、個人は年初来約5,384億円の売り越し、海外投資家は同4,025億円の売り越しでした。
個人は実は新興株を買い越している
個人の売り越しが目立つとはいえ、投資意欲が完全になくなっているとは言えません。金額の規模は小さくなりますが、マザーズ市場やジャスダック市場の株式を買い越しています。
マザーズ市場に対しては3週連続買い越しで、年初来350億円の買い越しです。ジャスダック市場に対しても年初来で137億円の買い越しとなっていて、主力株に方向感が出ないなかで新興株に注目している個人投資家の存在が示されています。
新興株はTOPIXを上回る好パフォーマンス
新興株市場は今年に入り順調なパフォーマンスを見せています。2017年1月4日終値から2017年3月17日終値までの騰落率は、東証マザーズ指数が+8%、JASDAQ指数が+7%に対してTOPIXは+1%でほぼ横ばいでした。
煮え切らない値動きのTOPIXに見切りをつけて、早めに新興株に資金を投下した個人は首尾よく値上がりを享受できています。
足もとでは新興株市場の上昇基調に変調の兆し
しかし、足元では新興株市場にぐらつきの兆候が見られます。JASDAQ指数は2017年3月9日に終値ベースで134.66の年初来高値を付けましたが、その後2017年3月17日終値までに約▲1%下落しています。
東証マザーズ指数は2017年3月10日に終値ベースで1,086.63の年初来高値を付けましたが、その後2017年3月17日終値までに約▲5%と急落しています。
個人投資家の投資意欲がそがれないか
個人の投資意欲の受け皿である新興株で下落が続くとすれば、投資マインドにネガティブな影響を与えることも予想されます。
3月期決算を控え企業業績の材料が出にくい時期に入っていますが、決算発表時に好材料が出る展開に期待したいと思います。そのためにも新興株が下落を続け、個人の投資熱を冷ますことにならないのか注目したいと思います。
LIMO編集部