父ちゃんは赤字だが母ちゃんは大幅黒字
日本国が外国に対して黒字で日本政府が赤字だという事は、日本の民間部門が巨額の黒字を稼いでいるという事です。海外との間では巨額の経常収支黒字を稼いでいますし、政府との間では財政赤字の分だけ民間部門が黒字になっているわけです。
筆者が例えるなら、上記のように財政を父ちゃんに例えます。そして、国内の民間部門を母ちゃんに例えます。父ちゃん(中央政府)は給料が少ないのに(税収が少ないのに)生活費を負担したり(行政サービスを提供して対価を受け取ったり製品を海外に輸出したりしている)子供に小遣いをやったり(高齢者に年金を支払ったり)して、金が足りません。
一方で母ちゃん(民間部門)はパートで稼いでいる(行政サービスを提供して対価を受け取ったり製品を海外に輸出したりしている)のに生活費等を負担していない(税金を少ししか払っていない)ので金が余っています。子供(別の民間部門)も、小遣いを全部使うわけではなく、一部は貯金しています。
そこで、母ちゃんは父ちゃんに金を貸して(国債を購入して)いますが、それでも余った金は銀行に貯金して(海外の銀行に貯金して)います。子供も、余った小遣いの分は銀行に貯金しています。一家を全体としてみれば、借金がなくて多額の銀行預金を持っている、健全な家庭です。
あとは、父ちゃんと母ちゃんが喧嘩をしないように生活費等の分担割合を変更できるか否か(増税できるか否か)、という事ですね。
この例えの良いところは、親が死ぬと子が父ちゃんの借金と母ちゃんの貸出を両方相続し、問題が解決するという点です。日本人が数千年後に少子化で最後の一人になり、その人が死ぬと、その人が相続した巨額の財産(個人の金融資産は2000兆円)が国庫に入りますから、政府の借金はすべて簡単に返済できるのです。数千年後の話は、極端な話ですが、色々と考える材料になるので、別の機会に詳述しましょう。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。
塚崎 公義