2025年7月4日、厚生労働省は「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を発表。

これによると100%公的年金や恩給で生活する高齢者世帯は、43.4%でした。つまり、約6割の高齢者世帯が、公的年金や恩給以外の収入により生活していることになります。

「老後」の収入として考えられるのが、私的年金、勤労収入、貯金の取り崩し、投資による分配金や配当金、子どもなどからの仕送りです。

現シニア世代のこうした暮らしぶりから、現役世代は将来迎える老後生活に向けて、公的年金だけで生活費をカバーできない場合に補填するための資産を準備しておく必要があるとわかります。

そもそも、現シニア世代は公的年金を月額どれくらい受け取っているのでしょうか。本記事で、年金受給額データを紹介します。

1. 日本の公的年金制度は「国民年金+厚生年金」の2階建て

「日本の年金制度は2階建て」としばしば表現されます。これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」と2階部分に当たる「厚生年金」から成り立つためです。

それぞれの年金の基本をおさらいしておきましょう。

1.1 1階部分:国民年金

加入対象者はどんな人?

  • 原則として日本に住む20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)

年金保険料はいくら?

  • 全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)

老後の受給額はどう決まる?

  • 保険料を全期間(480カ月)納付すれば満額の老齢基礎年金を受給できる(※2)

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.2 2階部分:厚生年金

加入対象者はどんな人?

  • 会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入

年金保険料はいくら?

  • 収入に応じて(上限あり)変わる(※4)

老後の受給額はどう決まる?

  • 加入期間や納めた保険料により個人差が大きく出やすい

このように、国民年金と厚生年金では、加入対象や年金保険料の決まり方、老後の年金額の計算方法などが異なります。そのため現役時代の年金加入状況により、実際の受給額には個人差が出ます。

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。

1.3 2025年度の年金支給スケジュール

公的年金の支給日は原則として「偶数月の15日(※5)」です。支給月の前々月分と前月分の2カ月分が合算され「後払い方式」で支給されます。

2025年度の「年金支給日」と「支給対象」の年金は以下の通りです。

  • 2025年6月13日(金) :4月・5月分
  • 2025年8月15日(金) :6月・7月分
  • 2025年10月15日(水) :8月・9月分
  • 2025年12月15日(月) :10月・11月分
  • 2026年2月13日(金):12月・1月分
  • 2026年4月15日(水):2月・3月分

※5 「15日」が土日・祝祭日の場合は直前の平日に前倒しされます

2. 【2025年度】年金額は前年同月比1.9%の増額改定

2025年度の年金額は、2024年度から1.9%の引き上げとなりました(6月支給の「4月分年金」より増額率適用)。

2.1 2025年度の国民年金と厚生年金の年金額例

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分)(+1308円)
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)(+4412円)

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

従来は、上記2つの年金例が公表されてきましたが、今回からは「多様なライフコースに応じた年金額」として、現役時代の働き方や収入ごとの年金額例も提示されています。