退職金2000万円で老後を乗り越えられるか
一時、「老後2000万円問題」といったように政府発表の資料が話題を集めました。
こちらについて詳細を確認していきます。
- 月々の赤字額:約5万5000円
- 老後必要額=5.5万円×12ヶ月×30年=1980万円(約2000万円)
これが、「老後2000万円問題」の根拠となった計算です。
国家公務員の定年の退職金がだいたい2000万円強なので、何とか足りるといったところでしょうか。
ただ、政府の試算はいろいろな「仮定」のうえに成り立っています。
まず、実収入(主に年金)が20万9198円と仮定されています。
国民年金であれば受給額に大きな差は生じづらいですが、厚生年金については個々人の加入期間や報酬額によって受給額が大きく異なります。
そのため、「自分のもらう年金は20万9198円より多いか少ないか」を検証する必要があります。
次に、実支出(主に食費など)が26万3718円と仮定されている点です。
これはまさに「人による」ものです。
筆者の母は帰省するたびに「どれだけ生活費を節約できているか」を楽しそうに語るのですが 、節約が習慣化している人の場合は、実支出が26万3718円を下回る可能性も高くなるでしょう。
国家公務員の退職金2000万円をベースとして老後にお金の余裕ができるかどうかは、年金の受給額や出費次第で変わりますので、今一度将来の収入・支出をシミュレーションしてみることも大切ではないでしょうか。
参考資料
石津 大希
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)に入社し、現在はコンテンツ編成本部マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
最終更新日:2024/09/04