東証第2部、東芝問題で脚光
今、東証第2部が脚光を浴びています。
東芝(6502)が2017年3月末で債務超過の場合、現在の東証第1部から東証第2部となる「2部指定替え」基準に該当するからです。
ちなみに、上場廃止基準は東証第1部・第2部ともに、債務超過が1年以内に解消されない場合や(東芝のように)特設注意市場銘柄で内部管理体制が妥当ではないと取引所が認める場合などになります。
東芝が東証第2部に指定替えを受けても、上場そのものの廃止リスクが変わらないのはこの上場廃止基準があるためです。東芝経営陣は株主、債権者、さまざまなステークホルダーにしっかりとした説明と対策を示す必要があります。
では、今回脚光を浴びている東証第2部とはどんな市場なのか、その内容を見てみましょう。
東証第2部の時価総額は東証1部の2%に満たない
東証第2部には532社が上場しており、その時価総額は約8兆円です(2017年2月末現在、以下同じ)。一方、東証第1部には2,005社が上場し時価総額は約566兆円ですので、これに比べるとかなり小さい市場であることがおわかりになるでしょう。
ちなみに、同時点でのマザーズ市場は229社が上場し時価総額は4兆円、JASDAQスタンダード市場は713社が上場し時価総額は8兆円です。東証第2部はこれらの市場と規模の点でそれほど違いがないことがわかります。
東証第2部、シャープが主役
次に東証第2部で時価総額の大きい銘柄を見ていきましょう。
トップは、2016年3月期に債務超過となり東証第1部から指定替えとなったシャープ(6753)です。現在の時価総額は2兆円を超えており、東証第2部の時価総額の25%を占める高いプレゼンスです。第三者割当増資を実施し収益も改善に向かっていて、現在は東証第1部への復帰を目指して事業計画を策定しているため、株価は堅調に推移しています。
ちなみに、東証第2部で時価総額が1,000億円を超えているのは全部で11社あり、その合計は3.5兆円になります。上位集中となっている構造がおわかりになると思います。
乱立する市場、整理の必要も
現在の東証第2部でシャープのプレゼンスが大きいのは、さまざまな市場が乱立し分断されているからでもあるのではないでしょうか。
日本証券取引所グループが発足したとき、東京証券取引所と大阪証券取引所の市場を引き継いだという経緯があるにせよ、外部から見て、たとえば東証第2部とJASDAQスタンダードとの本質的な違いを説明するのは難しいと思います。細分化されている市場を整理統合してみる時期が来ているかもしれません。
もしシャープが短期間で収益力を回復し東証第1部に復帰できるようであれば、東証第1部から東証第2部への指定替えの成功事例として注目されるのではないでしょうか。そうであれば指定替え基準を厳格化し、より多くの銘柄が指定替えを受け、その後の企業努力で企業体質を抜本的に強化して再興していくことができるかもしれません。
また、そもそも指定替えを受けないように、東証第1部の上場企業が成長戦略を真剣に考えるようになるのではないでしょうか。市場の整理と並行し、上場基準などの運用の見直しも必要になっていると筆者は感じています。
LIMO編集部