外国人投資家に頼るようになると危険だが
上記は、日本政府の借金が日本人投資家によって賄われているという前提に立つものです。日本の経常収支が赤字になり、対外純資産がマイナスになると、話は大きく変わって来ます。
日本政府が外国人投資家から金を借りる必要が出てくると、事態は深刻です。円建て国債は、よほど金利が高くない限りは外国人には買ってもらえないでしょう。彼らにとって円建ての日本国債は信用リスク(破産の可能性)に加えて為替リスク(円安の可能性)が両方あるわけですから。
ドル建てで国債を発行すると、今度は日本政府が為替リスクを負うことになりますが、それは危険な事です。外国人投資家が不安になって日本から資金を引き揚げようとすると、日本政府は国債の満期日にドルを買って国債の償還に応じなければなりません。
日本政府のドル買いがドルを値上がりさせるため、次の国債の満期日には高い値段でドルを買う必要が出て来ます。こうして、国債が満期を迎えるたびにドルが値上がりしてしまうのです。
幸い、日本は大幅な経常収支黒字を続けそうですし、対外純資産も巨額ですから、外国から借金するような事態には陥りそうもありません。経常収支が赤字の国とは事情が違う、という事はしっかり認識しておきたいですね。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。
塚崎 公義