元セリエA選手が見た過剰な練習によるマイナス影響

もちろん、これもまた私が勝手に言ってるのではありません。アレッサンドロ・チュッリーニ(現アルバニア代表フィジオテラピスト)だけでなく、元セリエAの選手にして現在は育成現場で指導にあたる監督たちの皆も一人の例外なく述べる理論なのです。

その一つの具体的な例として、現在「テクニカル・サッカー・プロジェクト」という名の育成組織を主宰するルカ・サウダーティ(元ミラン、エンポリFW)は、2018年にモンゴルのU15チームを6ヶ月に渡ってイタリアで指導した経験について、こう語っています。
 
「指導を始めた頃のこと。綿密に練習プログラムを組んで実践しているはずなのに、出るべき成果が一向に見えてこない。そんな時期が約3週間くらい続いたんだよ。わかりやすい例をあげれば、練習を重ねるごとに子供たちの動きが鈍くなっていく。これは一体どういうことだってことになってね、引率しているモンゴル人のコーチたちに尋ねてみると、なんと彼らは僕らの指導を受けた後に別の場所へ移動して長い距離を走っていると言うんだ。僕らが行う1日のトレーニングは90分間。長いときで110分。つまり、それだけの練習量では〝物足りない〟ということで、彼らは昼食を終えたその足でフィレンツェの河川敷へ行っては延々と走っていた。走り込むだけでなく、ものすごい数の腕立てや腹筋をやったり・・・。もちろん、こんなことを勝手にされたのでは僕らのプログラムは台無しだよ。」