市場関係者の関心が高く、株価等に影響
内容面の充実度合いのみならず、日銀が実施しているアンケートだという事で市場関係者の注目の高さも際立っています。為替や株価は、日銀の金融政策の影響を大きく受けるため、日銀の考え方に影響を与えそうな物には注目しておこう、という事でしょう。
市場関係者が「金融が緩和されると株価が上がり、ドルが買われるから、金融が緩和されそうなら株とドルを買おう」と考えているため、日銀短観で景気が悪そうならば金融緩和を予想した人々が株とドルを買う人がいて、実際に株とドルが値上がりしたりするわけです。
そうなると、「他の市場関係者が注目している物は、自分もしっかり注目しておかないと儲ける事ができない」と考える投資家たちが一層注目するようになるので、ますます注目される、という好循環?が生じているわけです。
ケインズはこれを「美人投票」と呼んでいます。言葉の由来はともかくとして、「何が真実かを追求するよりも、他人が考える事を予想して先手を打つ事が儲けにつながる」といった意味だと考えて下さい。
市場関係者は、数ある項目の中で特に業況判断DIに着目していて、その中でも特に大企業製造業のものに注目しています。
株価に直接影響を与えるのが大企業の収益であり、すでに発表された企業の決算よりも今後発表されそうな決算の数字を予想するのが株式投資で儲けるための重要な仕事だとすると、企業が今現在の業況についてどう考えているかを知りたいのは当然の事ですね。
株式投資家のみならず、為替を売買する人も、業況判断DIに注目しているようです。製造業のうちで輸出産業を見ている、という事もあるかも知れませんが、主因は「美人投票だから」でしょう。