LIXILビバのIPOを発表
トイレなどの水回り製品大手のLIXILグループ(5938)は、2017年3月8日、同社の連結子会社であり「ビバホーム」などのホームセンター事業を手掛けるLIXILビバ(3564)の東京証券取引所への新規上場(IPO)が承認されたと発表しました。
上場予定日は2017年4月12日で、LIXILビバは新株発行により増資を行うとともに、LIXILグループも所有するLIXILビバの普通株式の一部の売出しを行う予定です。
なお、現時点では上場する市場が東証1部か2部かは未定ですが、想定発行価格2,210円、上場後の発行済株数4,472万株から試算される上場日における時価総額は約1,000億円となります。よって、東証1部上場の条件となる「上場日における時価総額250億円以上」を満たす見込みで、東証1部となる可能性が高いと考えられます。
そもそもLIXILビバとはどのような会社か
では、LIXILビバはどのような会社なのかを簡単に見てみましょう。
主力事業はホームセンター事業で、その内訳は、リフォーム関連(大工用品、建築資材、住宅設備機器、電設資材、リフォーム等)、ホームセンター商材(インテリア、照明、ガーデン、ペット、サイクル、家庭用品等)、一般商材(家電製品、日用品、カー用品、時計、レジャー、事務用品等)、その他(アート、クラフト、ホビー、オンラインショップ)となっています。
実際にビバホームに行かれた方はご存知でしょうが、店舗には一般の消費者だけではなく、建築業界などのプロのニーズにも対応した豊富な商品が揃っています。こうした専門性の高い商品やサービスの提供が、他のホームセンターとの差別化ポイントになっています。
業績も順調です。直近の2016年3月期の売上高は1,727億円で経常利益は98億円でしたが、会員制建築資材卸売店舗「建デポプロ」を運営する建デポ事業の売却影響を除くと11期連続で増収を達成しており、利益面でも最高益を達成しています。
なぜ、子会社上場を行うのか
今回の動きで興味深いのは、新規上場は親会社からではなく、子会社側から申し出があって実現したという点です。
LIXILグループの発表資料によると、LIXILビバの経営陣は「上場企業となることで、より柔軟で積極的な店舗展開を実施し、さらなる成長を図っていきたい」という考えを親会社であるLIXILグループへ伝えたとのことです。
これを受けて、LIXILグループでは「上場によりLIILXビバの成長性が高まることは日本のリフォーム市場の成長にもつながり、その結果、幅広くリフォーム商品を提供するLIXILグループにとってもプラスになる」と判断し、その申し出を受け入れたとされています。
ちなみに、LIXILビバは1977年にビバホーム株式会社として創業し、1987年に東証2部に上場、1989年に東証1部に指定替え後、1992年にはトステムビバに社名を変更。その後、2001年にトステム(現在のLIXILグループの前身)により吸収合併され上場廃止となっています。
こうした経緯から、今回の上場は実質的には“再上場案件”ということになります。ただし、日本航空(9201)のケースのように破綻企業の再建が完了したために再上場するのでもなければ、日立マクセル(6810)のように“親会社の選択と集中”の結果、再上場するのでもありません。
上述のように、“リフォーム市場を活性化させる”という、親子共通の目標を達成するための再上場であることに留意したいと思います。
まとめ
3月8日の株式市場では、LIXILグループの株価は逆行高となっており、とりあえず今回のIPOを株式市場は好感したようです。
今後は、2018年3月期にどの程度の子会社株式売却益が計上されるのか、また、そのキャッシュをどのように活用していくのか、さらに、期待通りに国内のリフォーム市場の活性化を実現していけるかなどに注視していきたいと思います。
和泉 美治