不妊治療保険適用のデメリット2つ

メリットが大きい不妊治療の保険適用ですが、その反面デメリットも存在します。
 
1つ目はガイドラインで推奨される治療法のみ保険適用となる点、2つ目は保険適用よりも助成金制度の自己負担が軽くなる場合がある点です。
 
それでは詳しい内容について解説します

1.ガイドラインで推奨される治療のみ保険適用

今回の制度改正で保険適用とされた治療法は、厚生労働省が公表している一般社団法人日本生殖医学会のガイドラインにて実施を推奨しているものが対象です。

出所:厚生労働省「先進医療における不妊治療の対応について」

ガイドラインの推奨度A・B・Cのうち、保険適用となるのはAとBに該当する治療です。このため推奨度Cの治療(タイムラプスなど)を実施する場合は全額自己負担となります。
 
この推奨度Cの治療の一部については、先進医療として申請される予定です。今後の治療実績を踏まえて順次保険適用の対象になるものと思われます。
 
また流産などのリスク回避に効果のある着床前診断も、今回は保険適用を見送られました。

2.治療費助成金制度廃止により自己負担が増えるケースも

現在は年齢と回数の制限はあるものの、体外受精や顕微授精などの特定不妊治療と呼ばれる治療に対し、最大30万円を支給する助成金制度があります。
 
仮に特定不妊治療で40万円の費用がかかったとすると、保険適用前の助成金制度では30万円の支給で10万円負担となり、保険適用後では3割負担で12万円です。
 
つまり、治療にかかった金額によっては、保険適用よりも助成金制度利用での自己負担が軽くなるケースが発生してしまいます。

この助成金制度は保険適用開始と同時に廃止されますが、年度をまたぐ1回の治療については経過措置として助成金が支払われます。
 
ガイドラインに定められた治療法以外のものを選択すると、3割負担 + 全額自己負担(助成金なし)となり、今まで以上に負担が大きくなる可能性があるのです。