繰上げ返済と住宅ローン控除どちらを優先すべき?

繰上げ返済と住宅ローン控除のどちらを優先するべきかという問題は、ほぼ金利によって決まります。

金利が0.7%であれば、減税額となる借入残高の0.7%と同じになるため、利息分が相殺されます。つまり、金利が0.7%以上であれば繰上げ返済をした方がよく、0.7%未満であれば住宅ローン控除を優先させて、繰上げ返済は14年目以降にした方がよいと言えます。

ただし、これは理論上の話です。控除額は本人が支払った税額以上は控除されません。控除額が所得税を上回った場合、住民税からも控除されますが上限があります。

そのため、年収によっては、控除しきれない場合があります。また、繰上げ返済には手数料がかかることも留意しておくべき点です。

繰上げ返済の注意点

繰上げ返済は、返済期間を短縮する「期間短縮型」と、返済額を軽減する「返済額軽減型」があります。

期間短縮型の方が利息軽減効果が大きいので、こちらを選択する場合が多いと思います。ただし、繰上げ返済をして、借入期間が13年(中古住宅の場合は10年)未満となってしまうと、それ以降の住宅ローン控除は受けられなくなります。

期間短縮については、もう一つ、団体信用生命保険の保険期間が短くなるという問題もあります。

住宅ローンには基本、団体信用生命保険、通称「団信」という生命保険がついています。これは、住宅ローンの契約者が死亡・高度障害などによって住宅ローンの返済ができなくなった時に、保険金が下りてローンの残高が完済される保険です。

繰上げ返済をして期間を短縮してしまうと、団信の保障期間も短縮されてしまいます。小さい子どもがいる働き盛りの年代では生命保険としての団信のメリットは大きいため、繰上げ返済はせずに保障期間を長くとった方がいいという考え方もできます。

繰上げ返済は、資金に余裕があって初めてできるものです。利息を減らしたい一心で無理に繰上げ返済をして、家計が立ち行かなくなったら本末転倒です。教育費がかかる時期や収入が安定しない時期などは、繰上げ返済よりも手元資金を増やすことに注力しましょう。

このように、繰上げ返済と住宅ローン控除の比較では、金利による効果をまずは考えると思いますが、税額、借入残高、手数料でも変わってくるので、これらも一緒に調べておきましょう。

今回の改正を確認しながら、保障やライフプランまで含めて考えられるといいですね。

参考資料

石倉 博子