〈マーケットサマリー〉

株式市場

高値圏にあるものの、足元、やや資金流出が見られる
インド株式市場は引き続き高値圏で推移しているが、足元、新型コロナウイルスのオミクロン株の出現、米国の早期金融引き締め観測、地政学的リスクの高まりなどから、資金流出が見られた(2月18日現在)。

HSBCアセットマネジメントの株式運用戦略

本年は力強い経済成長が予想されていること、国内での新型コロナウイルスのワクチン接種が急速に進展していることなどを背景に、サービス消費への需要の高まりが期待され、これが市場にとりプラスに働くと考える。

インドの拡張的な財政政策を背景とした設備投資の推進や世界経済の成長などにより、インド経済は中長期的に拡大していくと見られている。

こうしたなか、同国の企業業績にも持続的な改善が期待され、企業の利益成長が中長期的な相場のけん引役になると思われる。ただし、短期的には原油高に伴うインド経済への影響、やや高水準にあるバリュエーションに留意が必要である。

インド株式の運用では、持続的な収益成長性を有しながらバリュエーションに割安感のある銘柄を選別する。

業種別には金融、不動産、ヘルスケアを選好し、公益事業、通信、エネルギー、生活必需品、資本財、素材には慎重なスタンスをとっている。またインフラ関連銘柄は、モディ政権が推進するインフラ投資計画の恩恵を受けると見込まれる。

債券市場

売り優勢の展開が続く
国債市場は、2021年5月下旬から軟調な展開(利回りは上昇)が続いている。

インド準備銀行(中央銀行)が政策金利を据え置くなど緩和的な金融環境は市場のサポート要因となっているものの、米国の長期金利の上昇や原油高などが債券市場の重しとなっている(2月18日現在)。

HSBCアセットマネジメントの債券運用戦略

新型コロナウイルスなどインド経済を巡る懸念材料が払拭されないなか、中央銀行は国内景気に配慮しながら、当面、緩和的な金融環境を維持していくと考えられる。

ただしインフレが高進した場合、中央銀行は、より中立的な政策に軸足を移すこともあり得る。新型コロナウイルスの感染が収束し経済活動が正常化すれば、インド経済の優位性が際立つと思われる。

こうしたなか、世界の投資家はインド国債の相対的に高い利回り水準に再注目すると考える。インド債券の運用においては引き続きインドルピー建国債に重点を置いて投資を行っている。

また、中期ゾーンのインドルピー建社債を選好している。

為替市場

インドルピーは対円で上昇、対米ドルで下落
インドルピーは2021年9月以降は、米国の金融政策の正常化などから米ドル高・円安が進行するなかで、対米ドルでは下落、対円では上昇している(2月18日現在)。

インドルピー相場は中長期的には、相対的に良好な経済ファンダメンタルズや高い金利水準、海外からの直接投資の拡大などが支援材料となり、堅調な展開が予想される。