2021年12月、厚生労働省から最新の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」が発表されました。

これによると、厚生年金の平均受給月額は14万4366円です。この数字を見て、どのような印象を持たれるでしょうか。

「平均並みの金額がもらえるだろう。これなら老後も暮らせそう。」
「これにプラスして国民年金を受け取れるなら、一人暮らしでもやっていけそう。」
「自分が老後を迎えるときも、だいたいこれくらいの年金がもらえるだろう。」

もしこう考えた方がいるなら、老後のマネープランは黄色信号です。

平均は14万4366円ですが、受給者数が圧倒的に多いのは月額「9万円以上~10万円未満」なのです。

他にも年金に対する誤解や、「平均で考える危うさ」について、しっかり見ていきましょう。

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そもそも厚生年金と国民年金とは何か

厚生年金と国民年金について、しっかり理解できている方は意外と多くありません。日本の年金制度は2階建ての構造になっています。

出所:日本年金機構

1階部分にあたるのが国民年金(老齢基礎年金)。日本に住む20~60歳未満の全ての人が加入し、一律の保険料を納めます。

納めた期間に応じて国民年金が受け取れ、満額は6万5075円になります(2021年度の場合)。

そして2階部分にあたるのが、厚生年金。公務員や会社員が国民年金に上乗せして加入します。

「国民年金の人」と「厚生年金の人」にわかれるというよりは、「国民年金だけの人」と「国民年金+厚生年金の人」とするのが正解です。

ここからは、厚生年金に対してよく見られる誤解について解説します。