65歳以上おひとりさま「1カ月の生活費」はいくらか

総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」を参考に、65歳以上・単身無職世帯の1カ月の収支をみていきます。

出典:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」

上記を見ると、ひと月の収入は「13万6964円」。一方で、支出の合計は「14万4687円」で、7723円の赤字となっています。

収入のほとんどを年金が占めますが、この年金額は個人差が大きいので注意が必要です。

厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、今のシニア世代の国民年金と厚生年金の受給額を確認しましょう。

国民年金〈全体〉平均年金月額:5万6252円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9040円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4112円

厚生年金〈全体〉平均年金月額:14万4366円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万4742円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万3808円

自営業やフリーランスの方であれば、国民年金の平均は月約5万円。会社員などが加入する厚生年金は平均月14万円ですが、男女で約6万円の差があります。

厚生年金は収入に応じて納めた保険料や加入月数により、将来の年金額が異なります。おひとりさまの中でも厚生年金への加入月数等が少ない方は、平均より少なくなることが考えられるでしょう。

老後の毎月の収入を知るためにも、ねんきんネットなどでご自身のおおよその受給額を確認しましょう。また、今の現役世代が年金を受け取る頃には、受給額が減る可能性があることも頭に入れておきましょう。

支出を見ると、「食料3万6581円(27.5%)」「住居1万2392円(9.3%)」このあたりは個人差が大きいでしょう。食費は工夫次第で抑えることも可能です。ただ年齢を重ねたり持病を抱えたりすると、食費が増える可能性があることも考えておきましょう。

支出を大きく左右するのが住居費用です。住居が1万円台というのは持ち家になるので、賃貸の方はそれ以上の準備が必要です。

おひとりさま老後の支出の平均は約14.5万円ですが、賃貸の場合は家賃5万円であればプラス4万円で約18.5万円。これに対して、自分の年金はいくら足りないのかを計算する必要があります。

たとえば月5万円足りないのであれば、その分を上乗せするために私的年金や貯蓄などで準備する必要があります。老後を65歳から90歳と仮定した場合、月5万円足りなければ約1500万円が生活費だけで必要です。

これにプラスして、介護費用などに備える必要もあります。LIFULL介護のデータをもとに平均入居期間(5年※)に必要となる費用を試算すると、サービス付高齢者向け住宅で約1000万円、有料老人ホームで約1900万円。

介護費用も合わせると、老後の生活費がたとえば月5万円足りない人は約2500~3500万円必要になる計算となります。

実際に必要な金額は個人差が大きいので、まずはご自身の年金や支出を考えてみましょう。

※公益財団法人 生命保険文化センター調べ